プロ野球の春季キャンプが2021年2月1日に一斉にスタートした。リーグ3連覇を狙う巨人は、宮崎県内でキャンプを張っている。今年は桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)がチームに加わり、より一層の注目を集めている。新型コロナウイルスの影響で外国人選手の来日などの問題を抱えるなか、21年シーズンも巨人が盤石の強さを見せるのか。
J-CASTニュース編集部は、巨人で戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(55)に今シーズンの巨人の強みについて分析してもらった。
「菅野投手の残留も含めて盤石に近い」
新型コロナウイルスの影響で外国人選手の来日が遅れ、新外国人選手に限っていえば開幕戦出場は厳しい状況にある。巨人はエリック・テームズ外野手(34)とジャスティン・スモーク内野手(34)を獲得したが、両選手ともに来日出来ていない。新外国人の状況は他球団も同様で、頭の痛い問題となっている。
「巨人はもともと外国人選手への依存度が、セ・リーグのなかでは低い方です。それで2連続で優勝しているチームですから、外国人選手がいなくても十分にリーグで戦える戦力が揃っている。これはこの2年で実証済みですし、新外国人選手の来日の遅れは問題ないでしょう。FAで梶谷(隆幸)外野手、井納(翔一)投手を補強していますし、明らかに戦力面でのプラス材料がみられる。菅野投手の残留も含めて盤石に近いような形になっている」(橋上氏)
橋上氏は昨シーズンの原辰徳監督(62)の采配に、阿部慎之助2軍監督(41)への大きな信頼を感じたという。原監督と阿部2軍監督のコミュニケーションがしっかりとれており、その結果、チーム力の底上げにつながったという。今年もその関係性に変わりはないと指摘する。
「桑田コーチは遠慮なく色々なことを進言出来る」
「昨年の巨人をみると、2軍のほうからある程度、推薦されて入れ替えが行われた印象を受けました。一方的に上からの意見を聞いている感じではないと思います。このメリットは2軍で状態のいい選手をすぐに上げて使ってもらうことが可能になる。1軍主導で待っているとそれが難しくなってしまう。昨年の巨人は2軍から上がってきた選手が活躍した割合が高かったという印象があります。1軍と2軍の風通しが良くなることは選手にとってもありがたいし、チームにとっても大きなプラス要素となります。今年もそれは変わらないと思います」(橋上氏)
また、橋上氏は桑田投手チーフコーチ補佐がチームに加わったことで、昨年よりも1軍と2軍の風通しが良くなるのではと推測する。
「桑田コーチが入ったことで投手に関してさらに風通しが良くなると思います。阿部2軍監督も当然、投手を見る目はあるが、桑田コーチが入ったことで投手の専門家からの視点と阿部2軍監督の視点のふたつが揃う。1軍の首脳陣からすればさらに信用度を増すと思いますし、安心できる要素でもある。彼は遠慮なく色々なことを進言出来ると思うし、それが望まれての役職だと思います」(橋上氏)
「本来ならば追いかけるチームに...」
春季キャンプでは連日、桑田投手チーフコーチ補佐の若手投手への指導が話題に上がっており、大きな期待がかかっている。FAでの戦力補強の成功、そして桑田投手チーフコーチ補佐の加入によるメリット。橋上氏は現状、セ・リーグでは巨人が頭一つ抜けていると指摘する。
「オフの補強を含めて巨人にはプラス要素が目に見えてあり、マイナス要素が見えてこない。これにくらべて他の球団はいくつかのマイナス要素があります。本来ならば追いかけるチームに大きなプラス要素がないといけないが、これが逆になっている。今年は外国人選手の動向がシーズンを大きく左右すると思いますが、現状をみると巨人が昨年以上に抜けている存在だといえるでしょう」(橋上氏)