陰謀論の内容そのものを否定されていたら...
きっかけとしては本当に些細な、「自粛生活でいつもよりも長時間YouTubeやテレビを見るようになった」という要因ではあったものの、そこから、あれよあれよという間に妄想が膨らみ、危うく、その妄想に飲み込まれそうになってしまったところを自助グループの仲間たちに助けられたという高知さん。インタビューが進むと、話題は高知さんの最近の活動にも及んだ。
――今回の経験を、ご自身が依存症の啓発活動として行ってらっしゃる講演会で取り上げる可能性はありますか?
高知:あります。というか、ネタにします(笑)! 自助グループで猛ツッコミを受けたその様子を再現しながら話そうと思ってます。仲間たちの指摘は的確で、陰謀論の内容そのものを否定するのではなく、僕の「今、YouTube上ではこの話題で持ちきりだよ!」という主張に対し、「高知さん、情報が偏りすぎてますよ!」と指摘し、僕の目を覚まさせてくれました。陰謀論の内容そのものを否定されたら、ムキになって反論してしまい、妄想から抜け出せなかったでしょうね。先ほども申しましたが、YouTubeを本格的に見るようになったのは、空き時間が出来るようになった昨年末以降だったので、自分が検索したジャンルの情報の関連動画が次から次へと出てくるYouTubeの仕組みにやられてしまったのです。否認を解くのって難しいですけど、僕の否認を解いてくれた今回の件も何かの参考になればと思っています。
――ただ、その一方で、高知さんは田中代表と共にYouTube上で情報発信を行われてますよね。
高知:昨年末までほとんどYouTubeを見ていなかった一方で、2020年初頭には「たかりこちゃんねる」というアカウントを開設し、情報発信を行っています。内容は、「依存症患者は自身が病人であることを、なかなか認められない」といった、依存症は治療に始めるまでのプロセスすら困難に満ちているといった点を解説するものから、「新型コロナウイルスと、依存症の深い関係!?」といったタイムリーなものまで、多岐にわたっています。この番組は想像や妄想じゃなく、現場で実際起きていることを伝えるようにしてますよ。
――最後に、今後の目標や活動予定をお教えください。
高知:まず、今回、こうしてインタビューを受けることになったのが、自分の恥ずかしい経験をツイートしたことがきっかけというのが恥ずかしくもあり、また、この経験も誰かの役に立てたのならうれしくもあります。今後、自分がやっていくべきことがあるとするなら、それは、やはり、自分がしでかしてしまった薬物経験だけでなく、隠したいと思うような話こそ正直に話すこと、それを積み重ねていくことが僕にできる啓発活動かなと思っています。僕、事件以後「恥」に対する耐性が強くなって、割と何でも話せるようになったんですよね。それが心の健康に繋がっている気がします。