ファクトチェックは「ほとんど見ません」
米大統領選では、国内外のメディアでファクトチェックが盛んに行われた。しかし、須田さんは「ほとんど見ません」と一蹴する。
「そのファクトチェック自体がファクトでない可能性があります。それを指摘されている方もすでに多くいまして、結局、ファクトチェックと言ってしまえば(読者が)信じるからこそ、嘘も本当になってしまう。私も確かにそれはそうだなと思っています。ファクトチェックを専門家にしてもらう必要はなく、自分自身で調べて真実を追求する方が面白くやりがいもあり、それが事実なんだろうと思っています」
どうすれば、大手メディアは信用してもらえるのか。引いてはファクトチェックが届くのか――。
「信頼を取り戻すのは容易ではないですし、実際に信頼を取り戻す行為をすればおそらく今は色々な規制や排除にあうでしょう。それでやっぱりやめておこうかとなってしまう訳ですよね。本当に真実を報道していこうとすれば今後も厳しい検閲が行われるだろうというのは容易に想像がつきます(中略)大企業みたいに徹底的に真実だけを追求すると目をつけられるので、その間を行くというか、中庸を目指していけるメディアがあれば長続きするのでは」
「ファクトチェックは、ファクトチェックをする機関がどういった見解を示したかという事実でしかない。(チェックする)メディアや機関(の信頼性)は全く関係なくて、(評価軸は)ひとつひとつのファクトチェックが我々の意に沿ったものであるかどうかだけ」
一方で、自身の発信する情報の信頼性はどう担保しているのか。須田さんは今回の取材や動画で、「ディープステート(影の政府)」の存在など陰謀論的言説を繰り返している。
16年米大統領選で起きた「ピザゲート」事件(偽ニュースを信じた男が米ワシントンのピザ店を銃撃)のように、陰謀論の発信には危険性をはらむ。この事件をきっかけに誕生したといわれる極右陰謀論「Qアノン」の信奉者らは4年後、米議会を襲撃した。
「確かにどこまでが事実かというのは世間に転がっている情報やメディアだけを見ても100%はないので、あくまで視聴者に選択の余地を残すような報道をすべきだと思いますね。事実はこうでそれに対して可能性を提示する、結構いまのユーチューバーもそういう人が多いですね。完全に断定せずにこういう事実があるけども、今後のケースとしてこういうことが考えられるという風に逃げ場を常に作っています。断定して間違ってしまうと信用できないとみなされる可能性がありますので」
「特に重要視しているのは、当事者の発言です。公式アカウントの発言と確認できれば、彼らが何を言っているのか大きなヒントになります。私も一時はトランプのツイッターばかり見ていましたから。ですから鍵となる人の実際の発言がいちばん重要です。サイトやメルマガも重要ですが、最終的に本人がそういっているのかチェックした上で、ある程度間違いなさそうだと判断できてしまうんです」
米大統領選では、当事者の発信にも虚実入り乱れた。トランプ氏は都合の悪い情報や報道を「Fake News!」と非難するケースが少なくなかった。
後編では取材に応じたもう1人、22歳大学生YouTuberに迫る。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)