二度の緊急事態宣言を乗り越えて... 宝塚雪組トップ退団公演、休演ゼロで本拠地完走の快挙

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   宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で上演中の宝塚歌劇雪組公演「fff-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~」は2021年2月8日に千秋楽を迎える。この公演は雪組トップコンビの望海風斗さんと真彩希帆さんの退団公演である。

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飲食施設休止で公演継続

   雪組の「fff」の前の宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演は「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」だった。

   この東京公演中の20年2月26日に安倍晋三首相(当時)がイベントの自粛を要請したために2月29日から公演を中止、3月10日に一度再開するも政府からの再度の自粛要請で12日から19日まで再度中止となり、3月22日に東京公演千秋楽のみを上演して終わった。雪組公演の次は星組公演の予定だったが、4月の緊急事態宣言発令で6月末まで全ての公演を中断した。

   以後、宝塚歌劇団は公演スケジュールの大幅な変更を行い、「fff」は当初の予定から約6か月遅れて21年1月1日から宝塚大劇場で上演となり、20年10月11日の予定だった望海さんと真彩さんの退団日も東京公演千秋楽の4月11日に延期された。

   劇場の収容人員約2500人はもともとイベント収容人数の上限をクリアしており、宝塚大劇場公演は満員で上演できた。

   ところが1月8日に菅内閣が首都圏1都3県に緊急事態宣言を発令、京阪神の兵庫県・大阪府・京都府も1月13日から適用となった。

   これらの措置に宝塚大劇場・東京宝塚劇場は夜公演の開演時間繰り上げと劇場内の食堂と軽食提供の全面休止で対応、公演そのものは中止せずに上演を続け、宝塚での雪組公演も中止せずに2月8日の千秋楽とサヨナラショー間近まで歩んできた。緊急事態宣言発令後でも宝塚大劇場はじめ、歌劇団のどの公演も休演なく上演できている。

   芸能界全体では中止・延期を選択する興行もあった中で、ファンと劇団双方にとって大切な退団公演を安全に遂行できていることは、政府の要請に翻弄された昨年に比べれば大きな前進だろう。

   5組で常に公演をローテーションし、高い稼働率を維持していた宝塚歌劇団が数か月の長期休演に見舞われた前例は、26年前の阪神・淡路大震災の例がある。この時もトップ退団公演をできる限り上演するための関係者の努力があった。

ベートーヴェン「第九」26年前との一致

   1995年1月の宝塚大劇場は、花組トップコンビの安寿ミラさん・森奈みはるさんの退団公演「哀しみのコルドバ/メガ・ヴィジョン」を元日から上演していたが、17日未明に発生した阪神・淡路大震災により同日以降の全日程が中止、次に予定していた月組公演も全日程中止となった。

   宝塚以外の地方公演は順次再開となったが、宝塚大劇場は95年3月31日に星組公演「国境のない地図」で再開されるまで約1か月半がかかったものの、公演再開は関西のファンに希望を与えた。

   ただし、トップ退団公演が中断となった花組公演は3月下旬に大阪・梅田の劇場飛天(現梅田芸術劇場)で同じ内容で代替公演を開催する。これは当初予定されていた細川たかしさんの公演を、細川さんの厚意により公演期間を短縮して譲ってもらったものだった。

   5月4日と5日には宝塚大劇場で安寿さんと森奈さんのサヨナラショー開催が実現し、退団イベントを終えることができた。代替公演とサヨナラショー開催はいずれもトップスターの退団という特別な公演をできるだけ観客に届けたいという関係者・ファンの努力が結実したものだった。

   また偶然の一致か、震災後の宝塚大劇場再開第1作「国境のない地図」は時代が違うものの「fff」と同じくドイツが舞台で、劇中でベートーヴェン作曲の「交響曲第9番」が印象的に用いられる。

   災厄の下でもファンに元気を与えた「第九」と舞台上のスターは、26年前のように語り草となるだろうか。望海さんと真彩さんの退団公演は、2月26日から4月11日まで東京宝塚劇場でも上演予定である。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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