一口食べただけで味をけなすような手紙を置いて行った客がいたと、宮城県内のラーメン店がツイッターで怒りを露わにしている。
マスクへの注意を喚起する店の投稿が一部で非難されたことから、それがきっかけになった可能性もあるという。店長に事のてん末を詳しく聞いた。
3日連続で来店、毎回ほとんど残した
この手紙は、手帳のページを切って書き込んだ形のもので、しっかりした字でスープや風味、具材について1つ1つ細かく突っ込んでいた。
店で出しているラーメンの1つについては、ダシや調味料などが譲り合って何味か分からず、魚介は生臭くてチャーシューはメンマのように硬いとあった。また、醤油味のラーメンについては、スープが甘く、団子のタレのような「微糖ラーメン」だと指摘していた。塩がおいしいかですべてが分かるとして、次こそ完食して「リベンジ」したいので、頑張ってほしいとも書かれていた。
ラーメン店は、この手紙の写真を2021年2月4日にツイッターに投稿し、手紙を残した客が3日連続で来店して、注文したラーメンをいずれもほとんど残したとした。席が空くのを待つ他の客もいたのに、こんな手紙を書く客にラーメンは出せないと憤っている。
このツイートは、手紙の内容などに関心が集まって、1万件以上もリツイートされている。
ラーメン店の店長は2月5日昼過ぎ、J-CASTニュースの取材に応じて、事のてん末を明かした。
それによると、この客は、1日目はラーメンの1つを注文し、2日目は醤油味のラーメンにした。いずれも、1人で来て、20~30分で店を出た。3日目は、ランチタイムの忙しいときに1人で来て、1日目と同じラーメンを注文したため、店長が口頭でこう注意した。
「前と同じ味しか出ませんよ」。すると、この客は、「同じ味でいいですよ」と答えたという。
「召し上がられないのなら、席を譲って下さい」と注意するも...
しかし、前の2回同様に一口ぐらいしか食べず、携帯電話をいじったり、メモを取ったりしていたため、「召し上がられないのなら、席を譲って下さい」と再度注意した。客は、「もうちょっとで空きますので」と説明してから、手紙を書き始めた。今度は入店から30分以上経って席を立ち、帰り際に自分の名刺を出し、前出の手紙を置いて行ったそうだ。名刺は、宮城の地元では、名士そうな肩書だったという。
スープが甘いなどとした客の手紙について店長は、次のように話す。
「ラーメンに甘みは出していますので指摘されても仕方ありませんが、おいしいと思っていますので、手紙の内容に根拠はありませんね。一口食べた後、胡椒とかお酢、ラー油をラーメンに入れて、かき混ぜていました。嫌がらせですね」
実は、店長には、今回のことには心当たりがあるという。
客が3日連続で来店する前日に、食事中以外はマスクを着用するよう呼びかける店内の貼り紙写真をツイッターに投稿した。貼り紙をする理由について、投稿では、お願いするとブチ切れる客がいるためだと説明していた。
すると、マスクを強要するなといった主張の異論が寄せられ、店では、ツイッターで説明に追われた。また、この異論はおかしいと店を擁護する意見も相次いで、激しい論争にもなっていた。
「証拠は何もありませんが、マスクの投稿が非難されたことがきっかけになった可能性もあるのではと思っています。ただ、マスクをしないと入店できないこともありますが、手紙を書かれたお客さまは、食事のとき以外はマスクをしておられましたね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)