2021年2月4日、共同通信は「『多目的トイレ』の名称やめて 指針改定、小規模店舗の基準も」とのタイトルで、駅などで見られる「多目的トイレ」について、その名称が変更される可能性を報じた。
記事では、国土交通省が「障害者ら向けのトイレは『多目的』『誰でも』といった名称を避け、利用対象を明確化するよう求める」と、その名称が変更される可能性に言及。これらの報道を見た一部のネットユーザーから、やや変わった反応が上がっていることをご存じだろうか。
「35年間ずっと、『滝のおトイレです。』って言ってると思ってた」
あるツイッターアカウントは、「駅の放送で『滝のおトイレ』にしか聞こえなかったからちょうどよかった」と、「多目的トイレ」の名称変更の可能性のニュースに反応しつつツイート。また、別のアカウントも「ついでに駅の『滝のおトイレです』にしか聞こえないアナウンスも再録してもらいたい」と、やはり、同じニュースに反応しつつ、「滝のおトイレ」なる単語を交えてツイートしているのだ。
「滝のおトイレ」......何だそれは? と思われるかもしれない。しかし、この単語、結構な数の人々にとって、バカバカしくもそれなりに「あるある」な勘違いなのである。
試しに、ツイッターで「滝のおトイレ」と検索してみてほしい。すると、「小さい頃『右が女子トイレ、左が多機能トイレです』のアナウンスを『左が滝のおトイレです』だと思ってました」といったツイートが続々と引っかかるのだ。また、中には「35年間ずっと、『滝のおトイレです。』って言ってると思ってた」とツイートしつつ、「多目的トイレ」の前で撮影した動画をアップしている者もいるほどなのである。
もうお分かりだろう。そう、「滝のおトイレ」とはすなわち、「多目的トイレ」の別名である「多機能トイレ」を「空耳」した結果なのである!
「右が男子トイレです。左が女子トイレです。正面が『滝のおトイレ』です」
なお、検索結果を遡ってみると、この手の勘違いは今回のニュースに関係なく、何年も前から行われてきたことが分かる。これらのツイートの中には、「『滝のおトイレです』って聞こえて、何か音姫みたいのがあるのかと思ってた」と、その存在形態について推測しつつ、実際に存在するものと認識していたとする声も少なくない。
そして、恥ずかしながら、筆者もほんの1年ほど前まで「滝のおトイレ」と空耳しており、「何なんだ? このアナウンス。いつもしつこいな......」と、その真意を測りかねつつ、音消し装置を備えたトイレのことだと思っていたのである。
昨今、各鉄道会社の駅では、トイレのアナウンスとして「右が男子トイレです。左が女子トイレです。正面が多機能トイレです」といった音声を流しているところは多い。今のところ、これらのトイレは鉄道会社によっては「だれでもトイレ」と呼ばれることもあり、その名称はまちまちだが、確かに、「多機能トイレ」という名称がアナウンスに使われている例は多数あるのだ。
つまり、その耳にする頻度の高さから、「多機能トイレ」を「滝のおトイレ」と誤認する人は多く、その人たちが、今回の「多目的トイレ」の名称変更の可能性を知り、名称変更が実現した暁には「多機能トイレ」という名称も消滅し、より分かりやすい名前でアナウンスされることを期待しているということなのだ。
読者の中でも、「多機能トイレをずっと『滝のおトイレ』だと空耳してた件」といったツイートよろしく、頭の中の認識をこっそり訂正した経験がある方は多いのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)