森会長は「問題の重大さを認識していない」 日本スポーツとジェンダー学会が「緊急声明」

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   「スポーツにおける男女平等・公平の達成」などを掲げて活動する日本スポーツとジェンダー学会執行部は2021年2月4日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視ともとれる発言を行い、謝罪したことについて緊急声明を出した。

   学会は森氏の発言を「女性の特性を恣意的に作り上げ貶めるもの」と強く批判し、性差別的認識や男女不平等の改善に向けた明確な方針と具体策の提示を求めた。

  • 森喜朗氏(2021年、代表撮影/ロイター/アフロ)
    森喜朗氏(2021年、代表撮影/ロイター/アフロ)
  • 森氏の発言が「反する」とした憲章、提言、指針など(日本スポーツとジェンダー学会緊急提言より)
    森氏の発言が「反する」とした憲章、提言、指針など(日本スポーツとジェンダー学会緊急提言より)
  • 森氏の発言が「反する」とした憲章、提言、指針など(日本スポーツとジェンダー学会緊急提言より)
    森氏の発言が「反する」とした憲章、提言、指針など(日本スポーツとジェンダー学会緊急提言より)
  • 森喜朗氏(2021年、代表撮影/ロイター/アフロ)
  • 森氏の発言が「反する」とした憲章、提言、指針など(日本スポーツとジェンダー学会緊急提言より)
  • 森氏の発言が「反する」とした憲章、提言、指針など(日本スポーツとジェンダー学会緊急提言より)

森氏の発言は「女性の社会進出を否定するもの」

   森氏は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」などと発言。これが「女性蔑視」だとして、国内外から批判を集めていた。翌4日には森氏が会見を開き、発言を撤回・謝罪。ただ、会長職の辞任については否定した。

   森氏が3日に評議員会で発言した際は、同席した評議員らから「笑い」が起こったと報じられている。このことについて学会は、

「森氏の発言と発言時にその場に居合わせたスポーツ関係者の反応は、性にもとづく差別が日本の体育・スポーツ界をリードすべき立場にある組織に蔓延していることの現れであると判断されてもやむを得ないものでした」

   と指摘した。さらに、森氏の発言は「客観的な証拠に基づかず、女性の特性を恣意的に作り上げ貶める」「スポーツ界のみならず、日本社会全体の女性進出が非常に遅延しているという問題の重大さを認識しておらず、女性の社会進出を否定するもの」だと強く批判した。

   大会組織委員会会長のほか、公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問、元首相でもある森氏について「日本のスポーツ界、ひいては日本社会全体に長期に渡り、大きな影響力を持つ立場にある」とし、「性差別的認識」「男女不平等」の改善に向けた「明確な方針と具体策の提示」を求めた。

   そして、「お詫びと撤回という、発言がなされた場だけを捉えた反応や対応ではなく、日本のスポーツ界が真にこの問題と向き合い、より良い方向に向かうための言葉こそが、スポーツに関わる組織のリーダーに求められています」と締めた。

   声明の最後には、「オリンピック憲章」や「オリンピック・アジェンダ2020 20+20提言」など、森氏の発言が「反する」とした「東京2020」に関わる理念、方針、条項について記載されている。

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