東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が2021年2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などと述べた問題で、森氏は2月4日午後に取材に応じ、発言は「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現」だったとして、発言の撤回を表明した。
ただ、「辞任するという考えはない」と明言。辞任を求める声には「老害が粗大ゴミになったのかも知れないから、そうしたら、掃いてもらえばいい」と開き直った。今後の国内外への説明については「これ以上のことを申し上げても、誤解が誤解を生む」と拒否。発言の何が問題だったかについて問われても「男女の区別をするような発言をした、ということ」と述べるにとどめ、問題の所在を理解していない可能性もうかがわせた。
男女平等をうたった五輪憲章の精神に反する発言
問題とされた森氏の発言は、
「女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍、時間がかかる」
「女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた」
といった内容。オリパラ組織委の女性理事について
「7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかり」
とも述べたが、男女平等をうたった五輪憲章の精神に反しているとの指摘も出ていた。
森氏は記者会見の冒頭で、
「昨日のJOC評議員会での発言につきましては、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと、このように認識をしている。そのために、まずは深く反省をしている。そして、発言した件につきましては、撤回をしたい。それから不愉快な思いをされた皆様にはお詫びを申し上げたい」
などと述べる一方で、辞任の必要性については明確に否定した。
「辞任するという考えはない。私は一生懸命、こう献身的にお手伝いして7年間やってきた。自分からどうしよう、という気持ちはない。皆さんが『邪魔だ』って言われれば、おっしゃる通り、老害が粗大ゴミになったのかも知れないから、そうしたら、掃いてもらえばいいのではないか」
「ご自身が何らかの形で責任を取らないということが逆に開催への批判を強めてしまうものではないか」という疑問には、「ご心配いただいたということであれば、ありがとうございます」。会見冒頭の説明を繰り返した。
「しかし今、あなたがおっしゃったとおりのことを最初に申し上げたじゃないですか。誤解を生んではいけないので撤回します、と申し上げている。オリンピック精神に反すると思うから撤回します、そう申し上げた」