124年ぶりに「2月2日」となった2021年の節分、「恵方巻き」をめぐる事情も例年とは違ったようだ。
食品ロス削減のため「予約販売」へのシフトが進む中、ツイッター上では予約をしないまま店を訪れたために、恵方巻きを買えなかったという声が続出。一部では「恵方巻き難民」なる言葉まで聞かれた。実際はどうだったのか。大手コンビニ3社に話を聞いた。
東京03・飯塚「仕方なくハンバーグ弁当買って...」
「恵方巻きもう売り切れとった」
岡山県出身の歌手・藤井風さんは2月3日、恵方巻きの代わりに「エクレア」を食べようとする自身の写真とともに、ツイッター上でつぶやいた。お笑いトリオ・東京03の飯塚悟志さんも同日、ツイッターで「恵方巻きが売り切れてたから、仕方なくハンバーグ弁当買って帰って一応南南東向いて食べたけど願い叶わないだろうな」と恵方巻きにありつけなかったことを報告している。
節分の時期になると、小売店の売り場にずらっと陳列されるのが恒例だった恵方巻き。だが、近年はその販売方法ゆえに「廃棄量」の多さも問題視されるようになっていた。こうした中、19年1月には農林水産省が流通各社に対し、恵方巻きの廃棄ロスを削減するよう呼びかけを実施。翌20年1月には「食品ロス削減推進法」の施行を踏まえ、大手コンビニやスーパーなど流通26社が、恵方巻きのロス削減プロジェクトに参画した。
日本経済新聞は20年3月25日、大手コンビニ3社が予約制販売の強化に取り組んだこともあり、20年の恵方巻き販売の廃棄にともなう損失は、セブンイレブンで前年比7割減、ファミリーマートとローソンで約5割減になったと報じた。
「大量陳列」から「廃棄削減」へ。販売方法がシフトする中で迎えた今年の節分、ツイッター上で目立ったのは、前述の藤井さんや飯塚さんのように、店を訪れても恵方巻きを買えなかったという声だ。
具体的に「買えなかった」とするツイッター投稿を見ると、恵方巻きを未予約だったために複数店舗を訪れたが、どこにも置いていなかったというもの、「半額狙い」で夜に店を訪れたが、既に「売り切れ」だったとするものなどがあった。そうした投稿者の中には、自身を「恵方巻き難民」だと自虐する人もいた。
「当日お求めになった方にはご迷惑を...」
J-CASTニュースがSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で調べたところ、21年2月2日にツイッター上で投稿された「恵方巻き」という言葉を含むツイートは約18万件だった(リツイート除く)。また、そのツイートがポジティブかネガティブかを判定する「ポジネガ分析」を行うと、「恵方巻き」とともにつぶやかれた「ネガティブな名詞」の一つに「売り切れ」が入る結果となった。
18年〜20年の節分(各2月3日)に投稿された「恵方巻き」を含むツイートを対象に同様の「ポジネガ分析」を行うと、いずれの年も「売り切れ」というワードはネガティブな名詞として登場していなかった。一方で、18年と19年にはそれぞれ「廃棄」という言葉がネガティブな名詞として入っていた。
実際の売れ行きはどうだったのか。J-CASTニュースが2月3日、セブン-イレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングス、ファミリーマート、ローソンの大手コンビニ3社の広報担当者に取材すると、セブンイレブンは販売終了直後、ファミリーマートとローソンはまだ販売期間中(2月3日まで)だったこともあり、いずれも具体的な数字については答えられないとした。
なお、ファミリーマートの広報担当者は恵方巻きの予約数に関しては「前年並み」だったが、コロナ禍の影響で「ウェブ予約」の比率が上昇したと説明。
また、セブン&アイHDの広報担当者は「多くのお店で(恵方巻きが)売り切れている、ということを聞いている。当日お求めになった方にはご迷惑をおかけした部分がある」としつつ、「(それだけ)廃棄があまり出ずに済む、ということも想定される」と語った。
恵方巻きもう売り切れとった pic.twitter.com/zphHpmU1qI
— Fujii Kaze (@FujiiKaze) February 2, 2021