NHK受信料が「一転値下げ」 その本気度と政治的背景

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「本質的な改革」議論を求める声も

   値下げ自体は結構なことだが、半年で既定方針がひっくり返された格好で、唐突と受け止める向きが多く、発表を受けた1月14日の日経朝刊(2面)は「一転値下げ」と見出しに取った。毎日は16日社説で「NHKが自律的に決める問題だったのではないか」と疑問を呈し、朝日28日社説は「釈然としないのは、決定に至る過程に政治の圧力を明らかに感じるからだ。視聴者・国民よりも政権の顔色をうかがうことにきゅうきゅうとするNHKの体質も垣間見える」と批判している。

   視聴者サービスの低下への懸念も強い。例えばBSの内外のドキュメンタリーは評価は高く、AMラジオの語学講座など、視聴者数は必ずしも多くなくても熱心なファンがいる番組は多い。民放にはできないNHKらしさの、いわば源泉だ。

   一方、支出削減に踏み込み不足との批判もある。NHKが再検討に掲げる8Kなどは番組制作のコストの大きさから民放では放送していない。本当に必要かという議論から始める必要があるだろう。

   いずれにせよ、単なる値下げ問題にとどまらず、ネットとでの同時配信などを含め、「これからの時代にNHKはどんな役割を担い、そのために必要な費用を、だれが、どのように負担するのか」(朝日社説)という問題意識をもって、「公共放送として本質的な改革」(日経社説)を議論する必要がある。その際、「公共放送が提供すべき番組は何か。それが、いま問われている。視聴者に納得して受信料を払ってもらうには、コンテンツを通して信頼を得るより他に方法はない」(毎日社説)ことは、言うまでもない。

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