NHK朝ドラ「おちょやん」で2021年2月1日に初出演したのが元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りおさんだ。東京の新劇の名門・花菱団出身のトップ女優・高峰ルリ子の役で出演する。
宝塚時代には絶大な人気を得た明日海さんの存在感は「おちょやん」の高峰ルリ子役でも衰えずオーラを放っている。
トップ在任5年、「ポーの一族」は再演果たす
明日海さんは2003年に入団し月組に配属。2012年~13年に月組トップスターの龍真咲さんとの役替わりで「ロミオとジュリエット」「ベルサイユのばら」で宝塚大劇場本公演で初めて主演格の役を演じる。
2013年に花組へ異動すると、劇団創立100周年の翌14年に花組トップスターに就任する。お披露目作品の「エリザベート」以降、花組トップ在任は約5年に及び、2019年に「A Fairy Tale ―青い薔薇の精―/シャルム!」で退団するまで、100周年から105周年までの宝塚を牽引した。
通常トップスターの任期は2~3年前後だが明日海さんの任期は5年、その間に劇団初の公演として舞浜アンフィシアターでのショーステージ「Delight Holiday」(2018年)、横浜アリーナでのコンサート「恋するARENA」(2019年)も明日海さん主演で成功に導いた。
演技力に加えてステージ上で醸し出す存在感なども評価されていた明日海さんの代表作の一つが「ポーの一族」(2018年)だ。原作の萩尾望都さんは「心臓がバクバク......」とビジュアルを絶賛、本作の舞台化を長年夢見ていた演出家の小池修一郎さんをして「(主人公の)エドガーがいた」と言わしめるほどのであり、19年11月の退団後も、2021年に明日海さん主演で再演されたほどである。
「ベルサイユのばら」「エリザベート」など劇団伝統の人気演目で主演を任され、また「ポーの一族」のように新作でも着実に劇団とファンの期待に応え続けた。
新劇役者のプライド見せた演技
NHK朝ドラ初出演となる明日海さん。そんな彼女が「おちょやん」で演じる高峰ルリ子は、東京の新派劇団でトップ女優だった設定だが、大阪で新たに立ち上げられた鶴亀家庭劇に参加する。
関西の喜劇役者が多く集まる鶴亀家庭劇では異色の存在。初登場シーンでは主人公の竹井千代(演:杉咲花さん)らに対して「映画、映画、映画......。あんなものはお芝居とは違いますわね」と言ってのけた。台詞回しや所作、常にピンと張った背筋も他の出演者とは一線を画すような演技を見せている。
退団から約1年強を経て、テレビ・舞台への出演回数も増えてきた明日海さん。自身の現在とも重なるような役どころであるが、高峰ルリ子は今後、役者魂を刺激されていくと番組では予告されている。ストーリーが進むにつれ、鶴亀家庭劇の役者たちにどんな効果を与えてくれるだろうか。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)