進入禁止かと思ったら、天下一品でした――。
一体何を言っているのかと思うかもしれないが、天下一品のロゴマークを見ていただければ意味がわかるだろう。赤い丸の中に白の横線が入ったデザインで、道路標識の「進入禁止」と実にそっくりな見た目をしているのだ。
そんな2つのデザインについて、2021年1月下旬に話題になったツイートがある。ホンダ車に搭載された安全運転支援システムが、路上にある「天下一品」のロゴマークを「進入禁止」と認識してしまった、というものだ。
こうした事例は本当にあることなのか。ホンダに聞いた。
「(車が)健康に配慮」「ラーメン食べられなくなっちゃう」
話題になったのは、ホンダが2015年1月の発売車から導入している「Honda SENSING」(ホンダセンシング)という安全運転支援システムだ。走行中に歩行者や対向車を検知して衝突を回避する「衝突軽減ブレーキ」(CMBS)や誤発進抑制機能などを搭載している。
その中の一つに「標識認識機能」がある。走行中にカメラが読み取った標識情報をディスプレイに表示する、というもので、運転手がうっかり標識を見落としてしまった際などに便利な機能だ。
しかし、機能を紹介するホンダ公式サイトのページでは、標識が遠かったり、木などに隠れていたりする場合は「システムが正常に作動しない場合があります」との注意書きも掲載されている。
そんなホンダセンシングについて、1月下旬にツイッター上で話題になった写真がある。
車内のディスプレイが「進入禁止」を表示するその後ろで、窓の外には「天下一品」の看板が映っている、という一枚だ。投稿者は、ホンダセンシングを搭載した車が、「天下一品」の看板を「進入禁止」と誤認識したものだと説明していた。
これを見たツイッターユーザーからは「これは見分けられなさそうww」「ちょっとかわいい」などの反響が続出。中には「(車が)健康に配慮してくれんのか」「ラーメン食べられなくなっちゃうね」といった反応もあった。
ホンダ「機能の能力を過信せず...」
実はこの「天一・進入禁止問題」への注目は、今にはじまったことではない。
17年12月には「Honda SENSING」搭載の「N-BOX」が、前方に見える「天下一品」の看板を「進入禁止」と認識したというツイートが広く拡散され、「(ホンダ車は)天一自動認識機能付き」と注目を浴びた。18年9月にも、同様の投稿がツイッター上で話題を呼んだ。
J-CASTニュースが21年1月28日、ホンダの広報担当者に取材すると、天下一品ロゴと進入禁止標識の「誤認識」が起こることは「把握している」と回答。実際の利用者から「誤認識」の指摘が寄せられたこともあるとした。
その上で、広報担当者は「Honda SENSING」の特徴について「機能の能力(認識能力・制御能力)には限界があり、道路状況、天候状況、車両状態等によっては、作動しない場合や十分に性能を発揮できない場合があります」と説明する。実際にホンダ公式サイトのページでは、標識の色や形の判別がつきにくいため、赤丸に棒線が入った「中華そば」のロゴを「進入禁止」として認識してしまう事例があることをイラスト付きで紹介している。
広報担当者は、ドライバーにこう呼びかける。
「機能の能力を過信せず、つねに周囲の状況に気をつけ、安全運転をお願いします」