与党に出遅れ、トンネル案で公約を「盛った」?
与党の「共に民主党」は、加徳島案に向けた法案処理を21年2月に開かれる臨時国会で進めることをすでに表明している。出遅れた形の「国民の力」としては、後追いで加徳島案に推進するだけでなく、トンネル案を唱えることで釜山市民へのアピールを狙ったとみられている。それだけに、通信社の「ニュース1」によると、「共に民主党」からは、トンネル構想が「空公約」だという批判が相次いでいる。
「共に民主党」から釜山市長補選に立候補を予定している朴仁映(パク・イニョン)氏は、海底トンネルが「物流システムの変化をもたらし、北東アジアの物流中心都市を目指す釜山港の将来が不透明になる可能性がある」と主張。日本政府が建設費用の全額を負担することを前提に、「日韓関係が正常化された際のいくつかの協力の方法のひとつとして検討が可能な事案だ」などとして、優先順位はきわめて低いと考えているようだ。
さらに、ハンギョレによると、「共に民主党」の崔仁昊(チェ・インホ)首席スポークスマンは、海底トンネルは「日本側の方が利益が大きい」と批判。
「日本の膨張的外交政策と大陸進出の野心に利用される可能性がある」
「釜山が日本の九州経済圏に編入されると、釜山が単なる経由地化される」
などと主張した。
日韓海底トンネルをめぐっては、韓国交通研究院の11年の試算では、建設に10年、92兆ウォン(8兆6000億円)かかるとされている。この試算では、2050年には年間604万人が利用するとみているが、それでも得られる収益は採算ラインの半分以下。現時点では実現可能性がきわめて低いのが実情だ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)