JAL、グループ外への出向500人→1000人に 今後も「活用したい」...業績は下方修正

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   新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本航空(JAL)は2021年2月1日、21年3月期の連結業績予想を下方修正すると発表した。20年10月30日時点では5300億円~6000億円だと予想していた売上高は4600億円に引き下げ、2400億~2700億円の赤字になるとみていた純損益は、3000億円の赤字に拡大する。

   一時は復調の兆しが見えてきた国内線の需要も、感染再拡大と観光支援事業「GoToトラベル」一時停止で低迷。減便が続いている。こういった事態を受けて、「1日あたり1000人程度」の社員がJALグループ外の企業に出向していることも明らかにされた。元々の出向人数は最大500人程度だとされていた。だが、その後の厳しい環境を反映する形で、出向人数も大幅に増えている。

  • 感染再拡大で大幅な減便を迫られている
    感染再拡大で大幅な減便を迫られている
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国内線68.0%、国際線95.3%減

   この日発表された21年3月期 第3四半期(20年4~12月期)連結決算は、売上高は前年同期比68.0%減の3565億円。国内線(旅客)は前年同期比68.0%、国際線(旅客)は同95.3%減少した。国内線は感染再拡大が影響し、国内線は出入国規制の緩和が進まないことが響いた。前年同期は748億円の黒字だった純損益は、2127億円の赤字に転落。第3四半期の赤字としては過去最大だ。

   JALやANA(全日空)では、減便で勤務の機会が減った社員の雇用を守るため、コロナ禍収束後は元の業務に戻ることを前提に、グループ企業外への出向を進めている。例えば20年10月末の決算発表では、JALは、その人数を最大で500名程度、ANAホールディングス(HD)は「12月までに約10社100名程度を予定。今後も随時規模を拡大し来春には400名以上を見込む」と説明していた。その後の感染拡大を受け、航空業界を取り巻く環境は厳しさを増し、出向人数も増加した。

   政府の雇用調整助成金は、事業主が労働者を出向させることで雇用を維持した場合も支給の対象になる。今回のJALの記者会見では、雇用調整助成金の活用に関する記者の質問に対して、菊山英樹・代表取締役専務は

「出向者の数については、(20年10月の)第2四半期の想定よりも増えており、今、1000名規模という形になっている。実際の人員の運用状況に応じて、こういった助成金については、最大限頂戴できるものは頂戴していきたいと考えている。特に今までと考え方に変わりはない」

出向先は「自治体や物流系の企業、コールセンター、教育機関、ホテルなど」

   植田英嗣・常務執行役員によると、出向先は「自治体や物流系の企業、コールセンター、教育機関、ホテルなど」、約40にのぼる。出向期間は「1日単位から2年程度」で、珍しいケースでは、接客施術を生かそうと、JALスタッフが年末年始に宗像大社(福岡県宗像市)の巫女(みこ)として勤務した。

   JALでは現時点では社員の一時帰休や人員整理にまでは踏み込んでおらず、植田氏は

「本当に社員の活躍の機会、場が出るというのは有り難いことで、今後ともこのような場は活用させていただきたい」

などと話した。

   一方のANA HDは1月29日に21年3月期 第3四半期(20年4~12月期)連結決算を発表。売上高は前年同期比66.7%減の5276億円で、純損益は864億円の黒字から3095億円の赤字に転落した。ただし、通期の業績については、貨物事業が好調なことなどを背景に、売上高7400億円、純損益が5100億円の赤字とする予想を据え置いた。22年3月期に黒字化する目標も維持している。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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