アリババ・アントへの圧力 中国当局の本当の狙いとは

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   中国IT大手「アリババ・グループ(阿里巴巴集団)」と中国当局の確執が注目されている。アリババ傘下の電子決済サービス「アリペイ」運営会社「アント・グループ」の株式公開(IPO)が土壇場で延期に追い込まれ、アリババ自体も独占禁止法違反に問われている。アリババ創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が昨2020年秋、公然と金融当局を批判したのがきっかけとされるが、中国当局の思惑はどこにあるのか。

   アリババは中国のネット通販で5割を超えるシェアを握る。アントは、ネット通販と一体化して10億人超が使うアリペイのネット決済を担うほか、投資商品販売、消費者ローンといった様々な金融分野にも進出している。米国のGAFA(グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブック)と並び称される中国を代表するプラットフォーマーだ。

  • アリババ・グループが向かう先は?(画像は同グループのサイトより)
    アリババ・グループが向かう先は?(画像は同グループのサイトより)
  • アリババ・グループが向かう先は?(画像は同グループのサイトより)

ジャック・マー氏が批判演説

   このアリババと当局の確執が表明化したのが昨秋。調達額が史上最高となる370億ドル(約3兆8000億円)というアントのIPO(上海・香港市場)について、公開予定2日前の2020年11月3日に、急遽延期され、一気に世界の耳目を集めるところとなった。

   その直接の契機になったとされるのが10月24日に上海であった金融関係のセミナーという公開の場でマー氏が行った講演。「中国には国民が安心して使える健全な金融システムがない」「中国の金融制度はイノベーションに大きな制約を加えている」などと痛烈に批判した。この報告書を呼んだ習近平主席が激怒し、アント上場を中止させるよう指示したと、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルが昨秋に報じている。

   その後も様々な動きが続く。12月18日、中央経済工作会議という、中国共産党・政府の会議で「独占に強く反対し、無秩序な資本拡張を防ぐ」という方針を決めた。さらに、12月24日には国家市場監督管理総局(日本の公正取引委員会に相当)が、アリババ・グループを独占禁止法違反の疑いで調査を始めたと発表。26日には金融当局がアントを聴取し、規制に反した信用貸し付け、保険、資産運用業務の見直しなどを求めた。

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