効率追い求めた生産スタイルが仇に 半導体不足で自動車メーカーが打撃を受ける理由

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半導体不足は「半年~1年くらい続くのではないか」

   米中対立の影響も無視できない。米トランプ前政権時代の20年9月に中国スマホ最大手の華為技術(ファーウェイ)への制裁が強化されたが、その前にファーウェイが半導体の大量に調達に走って品不足が始まった。

   さらにトランプ政権の制裁の手が中国の半導体受託生産大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)にも向かう見通しになったことから、半導体の需給への懸念が一気に高まり、調達先として台湾の受託生産世界最大手の積体電路製造(TSMC)などに注文が殺到し、生産が追い付かなくなった。

   TSMC などは新型コロナ禍で需要が伸び、先に受注していた家電や通信関連向け半導体を増産していたため、自動車向けの需要に十分に対応しきれていない――という状況だ。

   さらに、自動車産業特有の生産体制が影響しているとも指摘される。家電、ゲーム、通信などのメーカーは半導体メーカーから直接調達するのに対し、自動車は1次下請け、2次下請けが調達した半導体を組み込んでメーカーに納入するので、完成車メーカーのグリップが効きにくい。

   トヨタの看板方式に代表されるジャスト・イン・タイム方式で在庫負担を極限まで減らして生産効率を高めてきたことも、部品不足になると弱点に転じる。

   「半導体は製造工程が多く、新たなラインを組むには数か月かかる」(業界関係者)ともいわれ、現在の需給が逼迫した状況は「半年~1年くらい続くのではないか」(同)との見方が強まっている。

   「産業のコメ」ともいわれる半導体の調達を海外メーカーに頼る日本は、安定供給という重い課題が改めて突き付けられている。

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