なぜ半導体が足りなくなったのか
半導体は電子部品の制御などに幅広く使われているが、現代の自動車は工業技術の集大成といえる商品で、最新の電子制御やIoT技術が盛り込まれており、カウントの仕方にもよるが、1台で50~80個、高級車では100個以上の半導体が組み込まれているといわれる。その半導体が不足すれば、たちまち生産が滞る。それが今起きていることだ。
こうした事態は、コロナと米中対立が複合して起きているという。
まずコロナ。感染拡大で20年春から自動車生産が大幅減産に追い込まれたが、秋以降は世界的に生産が急回復しており、トヨタ自動車は9月以降の世界生産台数が過去最高を更新するほどだ。
他方、コロナ禍でもテレワーク(在宅勤務)や「巣ごもり消費」でパソコン、ゲーム機の売り上げが好調で、第5世代通信(5G)関連やデータセンターなどの投資増もあって半導体の需要が伸びている。
業界団体によると、半導体市場は21年には前年比8.4%増の4694億ドル(約50兆円)と、過去最高を更新する見込みという。
「半導体の奪い合い状態」(自動車メーカー)になるなか、自動車メーカーが一度生産を落とし、半導体の発注を絞ったのを受け、半導体メーカーが他への供給に切り替えたため、特に自動車の半導体不足が顕著になっているというのだ。