2021年1月22日、JR東海・東日本は臨時夜行快速列車「ムーンライトながら」の運行終了を発表した。「ムーンライトながら」は「大垣夜行」を引き継ぐ伝統ある列車だけに、鉄道ファンには大きな衝撃が走った。
ところが私は「ムーンライトながら」に乗車したことはなく「乗ろう」とも思わなかった。今回はその理由を正直に書きたい。
「ムーンライトながら」とは?
「ムーンライトながら」はオンシーズン(夏期、冬期、春期)に東海道本線東京駅から、岐阜県大垣市の大垣駅間で運行されてきた全車指定席の臨時快速列車である。快速列車なので特急券は必要なく、指定席券さえ購入すれば「青春18きっぷ」でも乗車できた。
夜間に格安で長距離移動ができることもあり、「青春18きっぷ」ユーザーを中心に愛用されてきた列車だ。
1987年のJR発足当時は「ムーンライトながら」という列車はなく、定期列車として東京~大垣間に普通列車が設定されていた。この列車が俗に言う「大垣夜行」である。「大垣夜行」が「ムーンライトながら」になり、2ドアボックスシートの急行型車両から特急型車両になったのは1996年のこと。
その後も「臨時大垣夜行」が運行されたが、高速バスの台頭もあり2009年に「ムーンライトながら」は臨時列車化。そして2021年に社会情勢による変化と車両の老朽化もあり、静かに幕を閉じることになった。
なぜ「ムーンライトながら」に乗らなかったのか
炎上覚悟で申し上げると私は「ムーンライトながら」に乗車したことはなく、また「乗ろう」と思ったこともない。ここでは乗車しなかった理由を書いていく。
1つ目に「ムーンライトながら」に使われている車両である。2013年度冬期から1980年代にデビューした国鉄型特急車両185系が使われてきた。40年選手ということもあり、走行音やリクライニング度を考慮すると快適度は劣ると予想する。
2つ目は深夜帯であっても消灯しないことだ。東京~大阪間を走る格安高速バスでも消灯する。快速列車という性格を考えると消灯しないのも致し方ないだろう。
3つ目は上記の点を考慮するとコスパに合わないということだ。いくら「青春18きっぷ」を使って神戸から東京まで5000円台で深夜に移動できると言っても、翌日の疲労度は半端ではないだろう。そう考えたら、地元の神戸空港から羽田空港まで7000円台で移動できるスカイマークの方がコスパがいいような気がする。
とは言っても「ムーンライトながら」でしか味わえない旅情もあっただろう。「廃止」と聞くと「一度は乗ってみたかった」と考えるのは筆者のワガママでしかない。
(フリーライター 新田浩之)