舞台となる南北朝時代とは
本作の舞台になる南北朝時代はどんな社会変動があった時代なのか。
「定説では鎌倉時代の土地の分割相続から嫡子単独相続が主流になり、武士の土地争いが激化します。土地と家の存続をめぐって、親兄弟あっても敵となって戦う時代でした」(丸山さん)
足利尊氏と直義の兄弟も後に全国規模の内乱に発展する観応の擾乱で争い、その間一時的に尊氏が南朝に帰参したこともある。
また「楠木正成・高師直・新田義貞ら、家格が低くそれまでの時代は活躍できなかった身分の人物が台頭し、天皇家と幕府がともに分裂して全国規模で戦乱が続いたダイナミックな時代でもあります」という。武士の行動原理も「家の存続のためには降伏や寝返りも珍しくない時代でした」と丸山さんは話す。