民放AMラジオの存廃問題 2023年に起きるコト

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   AMステレオ放送の存在意義を失わせる要因のひとつになった「ワイドFM」(FM補完放送)が、AM放送そのものの行方にも影響を与えつつある。民放ラジオ局の厳しい経営環境を背景に、日本民間放送連盟(民放連)は総務省に対して、AMをやめてFMに一本化することもできるように制度改正を要望。総務省の有識者会議は要望を受け入れる形で具体的な検討を進めている。

   ポイントになりそうなのが、放送局の免許が更新される2023年と28年。23年の時点で、地域や期間を限定してAMを停波する「実証実験」を行い、その結果を踏まえる形で、28年にAMを停波してFMに一本化する放送局も出そうだ。

  • AMを停波する「実証実験」が2023年11月に予定されている(写真はイメージ)
    AMを停波する「実証実験」が2023年11月に予定されている(写真はイメージ)
  • AMを停波する「実証実験」が2023年11月に予定されている(写真はイメージ)

2028年までに「経営判断によって」FMへの一本化を可能にするよう要求

   この問題の議論は、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」の「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」で進められている。AM停波論の実質的な議論が始まるきっかけになったのは、19年3月の会合で民放連が行った要望だ。

   民放連の当時の説明によると、AMを運営する放送局では、ピーク時の1991年度に2040億円あった営業収入が2017年度には約6割減の797億円に減少。FMもピーク時の00年度から35%減少してしている。少なくとも25年度まではAM、FMともにラジオの営業収入は落ち込みが続く見通しなのに加えて、AMの大規模送信施設を、放送を続けたまま同じ敷地内で更新することは困難で、

「民放ラジオ事業者の財政力で実施できる設備投資には、限界がある」

と訴えた。その上で、ワイドFMの制度を見直すことで「AM放送からFM放送への転換や両放送の併用を可能とするよう制度を整備する」ことを求めた。放送局の免許は5年ごとに更新される仕組みで、次回の更新は23年。民放連は23年までに、AM放送を一部地域で時間停止できる「実証実験」のための制度を整え、遅くとも28年までに「AM放送事業者の経営判断によって」AMからのFMへの一本化や、AMとFMの併用を全国的に可能にするように求めた。

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