インターネット上で親しまれてきた用語「人の金で焼肉食べたい」が商標登録された――。
女性アイドルグループ「劇場版ゴキゲン帝国Ω」の白幡いちほさんが2021年1月27日、自身が代表を務める会社「GOKIGENJAPAN」(東京都新宿区)を通じ、このネット用語を商標登録したと発表した。
「俺たちはいつだって人の金で焼肉が食べたい」
ネット辞書サービス「ピクシブ百科事典」によれば、「人の金で焼肉が食べたい」は2011年から主にツイッターで使われているネット用語だという。
17年2月には、当時、米大リーグ(MLB)マーリンズに所属したイチロー氏がこの言葉が書かれたTシャツを着用し、一気に知名度が上がった。
ツイッターでは「俺たちはいつだって人の金で焼肉が食べたい」「人の金で焼肉が食べたいので、食べさせてくれる人を募集しています」などの使用例が見つかる。人気の企業アカウントが8月29日の焼き肉の日に合わせて「『人の金で焼肉が食べたい人』はRT 『自分の金で焼肉をおごりたい人』はいいね」と反応を求める例もあった。
前述の白幡さんは1月27日、ツイッターで「大切なお知らせ」として「この度『人の金で焼肉食べたい』の商標を取得しました」と発表した。
特許庁のデータベースを確認すると、確かに1月8日付で出願登録されている。出願は20年2月3日。対象となる商品・サービスは「レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録音済みビデオディスク及びビデオテープ」「かばん類,袋物」「布製身の回り品」「被服,履物,仮装用衣装」「オンラインによる画像・映画・動画・映像・音楽・文字情報の提供」となっている。
「商品が販売できなくなることを懸念」
白幡さんの発表は5000以上リツイートされ、大きな注目を集めた。
白幡さんは「今後Tシャツなどのグッズなどは弊社が商標権を所有しますのでこれを機に正式に『人の金で焼肉食べたい』グッズを作りたいという企業さんがおりましたらぜひご連絡ください!」と呼びかけている。
GOKIGENJAPANは29日、J-CASTニュースの取材に、出願意図を次のように説明した。
「(劇場版ゴキゲン帝国Ωでは)2016年から『人の金で焼肉食べたい』という楽曲を制作しライブでの歌唱、CDのリリースやグッズ販売を行なって来ました。グループの代表曲とされており、グッズも過去数年間でTシャツやトートバッグ等展開しており現在も販売中です。他者による商標申請が受理された場合それらの商品が販売できなくなることを懸念し今回商標登録をさせていただきました」
商標登録はあくまで防衛的な意味合いで、他者の使用を制限したり、ライセンス収入を目的としたりはしていないという。
「商標登録およびそれを発表したことで他企業様と共同でのグッズ制作がしやすくなったと考えております」とメリットを強調し、グッズ展開の拡充を図る構えだ。