一方の斎藤佑樹は...
今から15年前の2006年、斎藤は早稲田実業で全国制覇を達成した。駒大苫小牧のエース・田中と延長引き分け再試合で投げ合った決勝戦は、現在も高校野球の名勝負として取り上げられている。
端正な顔立ちでマスクを取り出し、汗をぬぐう姿が話題になった斎藤は「ハンカチ王子」の異名で社会現象になるフィーバーを起こす。早大に進学すると六大学史上6人目の通算30勝、300奪三振を達成。4球団競合のドラフト1位で日本ハムに入団した際は田中に負けない注目度だったが、10年の月日が経った今はその輝きが完全に消えてしまった。
新人の11年に6勝を挙げたのが自己最多。18年から3年連続未勝利とファーム暮らしが長く続き、シーズン終盤に「戦力外になるか」が注目される寂しい状況になっている。
昨年に10月に右肘の内側側副じん帯断裂と診断され、自身の血液から血小板を取り出し、患部に注射する再生療法「PRP療法」を選択。現在はリハビリに励んでいる。1軍のマウンドに立つことを目指すが、その道のりは険しい。
田中は斎藤の手の届かない位置に上り詰めている。
明暗がくっきり分かれた両投手はもはやライバルと言える関係性ではない。だが、06年の甲子園のあの投げ合いをもう一度見たいというファンもいるだろう。マスコミも注目する投げ合いが実現するかは斎藤次第だ。意地を見せられるか。