脱「ロマンスの神様」で躍進 スポーツ大手・アルペンが遂げた「華麗なる変身」

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「ひとりキャンプ」人気も後押し

   ここでアルペンの店舗展開をみてみよう。店舗数は2020年9月末現在で391。このうち中規模店「アルペン」が51、大型店「スポーツデポ」が144、「ゴルフ5」が194、その他2という構成だ。

   20年6月期の売上高構成比でみると「デポ」が47・4%、「ゴルフ5」が32・2%で「アルペン」は10.8%。計200弱の「デポ」「アルペン」でスキー用品を扱うが、板や靴までフルラインアップでそろえる店舗を近年減らし、キャンプ用品などのスペースを広げてきた。

   セグメント別の売上高構成(2020年6月期)でみるとスキー用品の「ウインター」は3.5%に過ぎないのに対し「一般スポーツ」が59.8%、「ゴルフ」が34.7%。20年6月期は暖冬やコロナの影響もあってスキー用品の売上高が急減したとはいえ、17年6月期に比べて「ウインター」の売上高は半分強にまで減少してしまった。

   スキー用品の売り上げは減っているが、「ロマンスの神様」のころに比べてゴルフやキャンプへウイングを広げてきたことが、功を奏している。キャンプはかつて夏のイメージがあったが春や秋、場合によっては冬でも出かける人が増えており、「ひとりキャンプ」人気も含め、需要を着実につかんだ。

   また、「ロマンスの神様」のころのように膨大なテレビCMを投下せず、広告費を抑制したことが利益に貢献している。テレビCMを打たない代わりに顧客を会員として囲い込んでメールマガジンなどによって販売促進活動を行っているのは、多くの小売り業態で常識的な手法で、アルペン独自のものではないが、ここを着実に押さえているということだ。

   1972年に名古屋市内で15坪のスキーショップからスタートしたアルペン。日本人の趣味嗜好を巧みにとらえながらコロナ禍のもとでも成長しており、当面は投資家の物色先となりそうだ。

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