「甘味料について誤解を与える」 共通テストの英文に複数団体が苦言→何が問題だった?専門家に聞いた

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「食品の安全性を問う時に、人工か自然かは直接の関係はありません」

   わざわざ日本食品添加物協会がこのような声明を出した背景には、これまでの食品添加物の歴史と、消費者が持つイメージがあるようだ。

   食品の安全・安心に関してリスクコミュニケーション等の研究を行っている公益財団法人「食の安全・安心財団」理事長で、食品安全行政に携わってきた東京大学名誉教授の唐木英明氏は1月26日のJ-CASTニュースの取材に、

「かつて戦後まもない時期には食品添加物による健康被害が起こり、消費者団体が取り上げて運動を行った歴史がありました。そのような歴史を踏まえ、現在は非常に厳しい安全基準が採用されています。しかし今でも一部の団体が、添加物は危険というイメージに基づいた主張を続けているのも事実です」

と話している。甘味料など添加物の安全性については、「日本のみならず世界共通の基準で安全性が証明されたものだけが使われています。そうでないと輸出入もできません」と説く。

   唐木氏は低カロリー甘味量に関する当該問題文の主張は、欧米のオーガニックビジネスの影響があったのではと推測した。オーガニックビジネスのシェア拡大の為に、既存の人工添加物のネガティブキャンペーンを行う向きがあると指摘する。

「欧米のオーガニックビジネスの戦略として、遺伝子(組み換え)・農薬・添加物の3点は危険だと主張するイメージづくりが行われてきました。日本でもその影響を受けた報道が今までにあります。

それらの主張のためには、恣意的なデータ解釈にもとづく間違った研究すら根拠にされます。共通テストの問題文は何かの文献の引用ではなく、出題者が独自に作った文章だと思われますが、低カロリー甘味料についての当該問題文も、そのような恣意的な研究を参考にしてしまったのではないでしょうか。

しかし、ある食品の安全性を問う時に、人工か自然かは直接の関係はありません」
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