「三次喫煙の悪影響の重大性からすれば...」
イオンの「45分前禁煙」をめぐっては、ツイッター上で「イオンの英断に拍手したい」「接客業でタバコの匂いはちょっとあれだから助かる」「子供いる身、タバコを吸わない身からしたらフレッシュな環境で買い物出来るっていいと思う」と肯定的に捉える声が。その一方で「出勤前くらいは従業員の自由にさせてやれよ」「プライベートまで斬り込まれるって切ない」と喫煙者の従業員に同情する意見や、「出勤45分前の行動を制限する権利はあるのか?」といった疑問の声も聞かれている。
企業が従業員に対し、就業時間外での「禁煙」を求めることに法的な問題は生じないのか。J-CASTニュースが1月26日、弁護士法人天音総合法律事務所の正木絢生代表弁護士に取材すると、「一般に就業時間外に使用者の権限が及ぶのは限定的な場合と考えられている」としつつ、以下のような見解を示した。
「喫煙者の呼気に含まれる総揮発性有機化合物の濃度が喫煙前の状態に戻るまで喫煙後45分かかるとの産業医科大学のデータ等があり、三次喫煙の悪影響の重大性からすれば就業前の禁煙を求めることにも一定の必要性・合理性があるといえそうです。そのため、就業45分前であれば喫煙禁止を求めることも適切な使用者の権限行使と判断される可能性はあります」
ただ、仮にこうした規定が設けられ、従業員が精神的苦痛を受けた場合には「従業員の喫煙の自由を侵害するものとして損害賠償請求を請求できるか等が問題とはなり得ます」と説明。その上で、
「近年は喫煙の有害性や受動喫煙による健康被害の拡大が叫ばれており、禁煙を求めることについても合理性が認められると考えられております。このような状況の下では、従業員が喫煙機会を失い精神的苦痛を受けたとしても使用者が賠償責任を負うのは、使用者の権限が濫用されたような限定的な場合ではないかと考えられます」