映画『えんとつ町のプぺル』が面白い、らしい――。
2020年12月25日に公開されると、各界の著名人たちが作品を絶賛。インターネット上では、10回同じ作品を見るという意味で「10プぺしてきた」という声も聞かれた。
その人気・評判は果たして本物なのだろうか。J-CAST記者が実際に映画館を訪れ、「プぺル熱」を確かめてきた。
ホリエモン「4回泣きました」
「主人と『えんとつ町のプペル』を観ました。西野亮廣はやっぱりすごい!是非多くの方に観ていただきたいと思います」(安倍晋三前首相の妻・昭恵氏、20年12月31日のフェイスブックにて)
「5年前、西野と2人でご飯食べてる時に『ウォルト・ディズニーを超えます』と言っていた。(中略)今日えんとつ町のプペルを見終わりエンドロールの西野の名前で泣いた。今ならうまく返せます。超えれるよ西野」(TKO・木下隆行さん、1月10日のツイッターにて)
「4回泣きました」(実業家・堀江貴文氏、1月14日のYouTube動画にて)
「鬼滅も見たしポケモンも見たんですよ。正直、でも僕は一番プペルが面白かった」(オリエンタルラジオ・中田敦彦さん、1月15日のYouTube動画にて)
「えんとつ町のプぺル」は16年に出版された、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんの絵本をアニメ化した映画作品。外界から遮断された「えんとつ町」に暮らす主人公・ルビッチが「ゴミ人間」のプペルとともに星を探す物語で、キャストには芦田愛菜さん、窪田正孝さんなど豪華俳優陣が名を連ねる。原作者の西野さんは今作の脚本も手掛けている。
昨年末に映画が公開されると、上記のように著名人たちが作品を絶賛した。魅力にとりつかれた一部ユーザーの間では、作品をリピート鑑賞するという意味で「〇プペしてきた」(〇は数字)という言葉まで誕生した。
そうしたユーザーの投稿には、仕事前に映画を見る「朝プペ」や、仕事終わりに見る「夜プペ」という表現も見つかる。中には「10プペしてきた」と豪語する人もいた。
主人公の「友情」シーンで涙流す人も
1月17日には累計観客動員数が100万人を突破するなど、一部地域で緊急事態宣言が発出されている中でも話題作となっているプペル。ただ、ツイッター上などでは「実際面白いんかな」「評判いいので『ほんまか?』って疑ってる」など、ブームに対して冷ややかな目線を送っている人もいるようだ。
ネット上の「プペル熱」は本物なのか。実態を確かめるため、1月25日(月曜日)の昼、普段映画を見ないJ-CASTニュース記者が映画館に向かった。訪れたのは東京都心にある大型のシネマコンプレックスだ。
作品の上映10分前、400を超える客席のうち、埋まっていたのはおよそ1割程度。平日の昼間という時間帯に加え、緊急事態宣言下で不要不急の外出自粛が呼びかけられていることや、テレワークの推進で都心部の人出に影響が出ているといった要因があったかもしれない。
客層は大学生とみられる若いカップルやグループ、あるいは「おひとり様」の男性や女性が多くを占め、家族連れは確認できなかった。
上映中は各人がマスクをしているため細かい表情がわからなかったものの、主人公のルビッチとプペルの「友情」が示されるシーンでは、ハンカチ片手に涙を流す人もいた。また、途中で退席する人は確認できなかった。上映が終わると、若い男女のグループが「よかったね」「泣いちゃった」と談笑する姿が見られた。
なお、別日に別会場で作品を観たというツイッターユーザーの間では、エンドロール後に客が立ち上がり、拍手が鳴りやまなかった、というような報告もあったが、今回の会場では少なくともそういった現象は見られなかった。
作品通して感じた「一貫したメッセージ」
各方面からの絶賛と、それに対する冷ややかな声。いずれの意見も踏まえた上で、今作を観た記者が抱いた感想は「思っていたよりは楽しめた」。印象に残ったのは、原作・脚本の西野さんによる一貫したメッセージだ。
「ゴミ人間」であるプペルに対しては「異端者を排除・隔絶しようとする人々の心理」が容赦なく描かれている。「閉ざされた世界で星を探す」という2人の挑戦、それを冷ややかな眼差しで見る人々との対比もまた、明確に感じられた。ルビッチとプペルの姿は、お笑い芸人から絵本作家を志し、各方面から厳しい声を浴びつつも精力的な活動を続けてきた西野さんそのものなのかもしれない。
1月15日からはスマホアプリ「HELLO! MOVIE」を通じ、上映中に西野さんの副音声が聞けるというサービスが展開されている。西野さんが作品の裏話や、シーンごとに込めた思いなどを解説するというものだ。
初見で作品に胸を打たれた人が「2プペ目」にこれを聞くと、また違った楽しみ方が出来るかもしれない。
プペルも、まばたきするんです。 https://t.co/L3yQhkNanF
— 西野えほん(キングコング) (@nishinoakihiro) January 16, 2021