ステレオで聞けるradikoとワイドFMも逆風に
業界をとりまく環境の変化も逆風になった。10年にradikoのサービスが首都圏や近畿圏で始まり、14年には、AM局が90.1MHz(メガヘルツ)より周波数が高いFM波でAMと同じ番組を流す「ワイドFM」(FM補完放送)が、北日本放送(富山市)と南海放送(松山市)の2局を皮切りにスタート。radiko、ワイドFMともに大半の局がステレオで番組を流しており、全国展開も進んだ。そのため、「AMでステレオ放送」を聴くことの意義は限りなく小さくなっていた。
12年5月の東海ラジオ(名古屋市)を最後に、いったんは撤退の流れは止まったかに見えたが、1992年4月からAMステレオを続けてきたCBCラジオ(名古屋市)が2021年1月11日早朝の番組からAMをモノラル放送に切り替えた。
CBCも送信機を新調したことが契機になった。J-CASTニュースの1月20日の取材に対し、CBCラジオの編成部は以下のように説明した。AMステレオ対応の送信機を発注しようと国内メーカー2社に問い合わせたが、2社とも製造を断った。やむなくモノラルで送信機を更新することになったという。
CBCの撤退で、国内でAMステレオを継続しているのはニッポン放送(東京都千代田区)、ラジオ大阪(大阪市港区)、和歌山放送(和歌山市)の3局を残すのみとなった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)