新型コロナウイルスのワクチンについて、女子高生の6割超が「受けたくない」としたアンケート結果を紹介したウェブメディア「オリコンニュース」の配信記事が、いたずらに不安を煽らないでと専門家らから批判を受け、その後削除された。
削除した理由について、オリコン側は、「内容が不適切だった」と説明している。
産婦人科医「充分な情報提供もなしに取ったアンケートをニュースに」
「受けたくない 怖い」。2021年1月20日配信の記事には、こう訴える高校1年の女子生徒の顔写真も載っていた。
タイトルは、「新型コロナワクチン、6割超『受けたくない』 女子高生100人にアンケート」。記事では、政府が2月下旬までに接種を始めるとされ、河野太郎氏をワクチン相に任命した状況を受けて、100人にアンケート調査を行ったとした。
調査は、女子高生のマーケティング事業をしている広告代理店の協力を受けた。その結果、「早期に接種を受けたいですか?」との質問に対し、34人が「受けたい」、66人が「受けたくない」と答えた。接種を受けたい理由については、家族や友達にうつしたくないという回答が多かった。
一方、受けたくないが6割超に達し、理由について、副作用などの安全性に不安があるといったものが多かった。記事では、厚労省が副作用の例をサイト上で紹介しているとし、「政府が臨床試験を重ね、安全性を確保してから接種を開始することは間違いない」と指摘はしていた。
ところが、ツイッター上などでは、「正しい情報を報じず、不安をあおるだけ」「ワクチンの有用性正しく広めるのがマスコミの使命では?」との疑問も出て、産婦人科医の宋美玄さんは20日、こう投稿した。
「コロナワクチンについて充分な情報提供もなしに取ったアンケートをニュースにすることに何の意味があるのか。目先のページビューは稼げるかも知れないが、世界中で日本だけコロナを克服できない未来にしたいのだろうか」
「チェック体制の不備で掲載されてしまった」
一方で、ワクチンの効果や副作用について慎重に見極めるよう訴える専門家もおり、オリコンニュースの記事について、「普通に不安ある」「副作用が怖いってのはまっとうな意見だ」などと理解を示す向きもあった。
最近、週刊誌などでは、医師の接種希望が少ないようなタイトルの記事を載せたり、ワクチンの感染予防効果が疑問視されていると指摘したりして、専門家らの間でも論議になっている。
今回の記事について、ニュース配信をしているグループ会社のオリコンNewS社は1月21日、J-CASTニュースの取材に対し、次のようにコメントした。
「チェック体制の不備で掲載されてしまったため、編集部内で記事が不適切と判断し削除しました」
記事は、大手新聞サイトなどにも配信されていたが、毎日新聞の公式ツイッターは1月21日、配信元のオリコン側は内容が不適切と判断して記事を削除したとして、「掲載にあたり内容の確認が不十分でした」と投稿した。記事を取り上げたツイートも削除するとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)