円高懸念は後退も...
バイデノミクスは日本にはどんな影響が考えられるだろう。今のところ、コロナ対策で菅義偉政権が迷走する中でも、米国と同様の超金融緩和もあって、ダウ平均に引っ張られる形で日経平均株価も騰勢を続けている。
日本独自でコロナの感染拡大を食い止め、どう景気を上向かせていくかはもちろん主体的な問題として重要だが、景気への影響という面でも、米国経済の動向とそれに絡む為替相場が気になるところだ。
日本の金利はマイナス金利政策で低位安定している一方、米国の金利が上昇基調のため、日米の金利差はコロナ禍当初の0.6%程度から、足元では1%に拡大している。これを受け、為替相場も、1ドル=106円台から、年明けには102円台まで上昇していたのが、ここにきて1ドル=104円前後に反転してきている。
コロナ禍で米国ではFRBの緩和により金利低下余地がまだある一方、マイナス金利の日本はこれ以上の金利引き下げ余地がなく、日米の金利差が縮むという見立てから、すう勢として円高傾向が続いていたのだが、ここにきて、米国金利が今後も緩やかに上昇していくとの見通しが強まったことから、円高懸念が後退しているもので、「円高恐怖症」の日本の政策当局は、一安心というところだ。
ただし、今後の経済動向は、日米とも、コロナの感染拡大をいかに抑え、景気を上向かせることができるかにかかっているのは同じ。その時期やペースで財・金融政政策も変わり、それが金利や為替、株価にどう影響するか、なかなか見通せない。