バイデン政権発足で日本経済どうなる? その期待と不安

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膨らむ財政赤字

   ただ、懸念もある。トランプ前政権時代、コロナ対策として2020年3月以降、すでに4回の対策を実施し、12月にも9000憶ドル財政出動を決めたばかり。対策の規模は計4兆ドルと、国内総生産(GDP)の20%程度になり、バイデン政権の1.9兆ドルが加わると、累計の対策規模はGDPの3割に達する。経済が落ち込んで税収も減る中での巨額の対策で財政赤字は膨らむ。これまでの対策で政府債務は過去最悪の27兆ドルに達している。

   そこで気になるのが、長期金利の動向だ。コロナ拡大を受けた米中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の大規模金融緩和により、長期金利の指標である10年物国債の利回りは、2020年春先から1%を割り込み、概ね0.6~0.8%の水準で推移していたが、度重なる財政出動による国債増発で秋口からジワジワ上昇、年が明けると10カ月ぶりに1%台に乗せた。バイデノミクスで国債がさらに追加発行されることから、市場では「長期金利は年間を通して1.3%レベルまで緩やかに上昇していくだろう」(大手証券)との見方も出ている。

   もう一つ、バイデノミクスの柱である「格差是正」については、富の再配分を訴えてきた。年明けのジョージア州上院決戦投票で民主党が勝利し、上下両院で多数派を握ったことで、株式市場では富裕層増税への懸念もくすぶっており、株価のマイナス材料との声もある。これについては、イエレン氏が1月19日の上院公聴会で「公平に税を負担することが重要だ」と主張してバイデン氏の増税路線に同調する一方、「目先は財政出動による経済回復に注力し、増税は長期的に検討していく」と述べたことで、目先の心配は後退している。

   コロナ禍で雇用が減り、貧困層が拡大、その困窮が進む一方、金融緩和を背景にした株高で富裕層の資産が一段と膨らみ、格差は一段と拡大しているが、当面はコロナ感染拡大を食い止め、ワクチン接種を急ぎながら、経済対策で景気を浮揚させていくことになる。このため、議会で追加財政出動の早期承認を得ることがカギになる。両院を押さえたとはいえ、上院は50対50で、議長(ハリス副大統領)の裁可で可決できるという僅差だけに、調整にたけているというバイデン氏の手腕がさっそく試されることになる。

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