2021年1月20日の夜に突如として発生した、俳優・吉岡里帆さん(28)のインスタグラムの乗っ取り事件。騒動はすぐに沈静化し、吉岡さんがインスタグラム上で「こちらは無事です!」とメッセージを発するなど騒動は落着したが、ネット上では「アカウントハックされて可愛そうだった」とのツイートが21日正午を過ぎても出るなど、その衝撃はいまだネット上を駆け巡っている。
フォロワー数は約275万人
乗っ取り犯はハッキング直後から生配信を開始。この際、吉岡さんのアカウントから通知が発せられたため、多数のユーザーが、吉岡さんが生配信を開始したと勘違いして視聴させられてしまっていた。吉岡さんのインスタグラムといえばフォロワー数が約275万人を擁する有名アカウントであるため、多数のユーザーが乗っ取り犯の生配信を視聴してしまったわけである。
ただ、これらの状況を考えると、乗っ取り犯としてはより多数のフォロワーを抱えるアカウントを攻撃すれば良かったようにも思える。事実、ローラさん(30)のアカウントは約644万人のフォロワー擁しているほか、渡辺直美さん(33)のアカウントに至っては実に約937万人のフォロワーを抱えており、ハッキングした場合は、より多くの人の目に入ったはずだ。
そこで、J-CASTニュース編集部は、なぜ吉岡さんのインスタグラムが狙われたのかという疑問を解決すべく、ITジャーナリストの井上トシユキ氏に意見を聞いた。
犯人は恐らく、吉岡さんのことなど知らない
まず、犯人像について井上氏は、吉岡さんについては何も知らない人物が行ったのではないかと推測した。
「恐らく、犯人は吉岡さんをはじめ、複数のアカウントのパスワードを何らかの方法で入手し、その中で、『フォロワーが多数ついている』『コンスタントに投稿を行っている』という点から、『著名人であり、注目度が高いアカウントである』と判断して、今回の乗っ取りを行ったのだと思います」
続けて井上氏は、今回の吉岡さんの一件と同じ構造をしている可能性がある、2012年に起きた「珍事」を思い出してほしいと指摘した。
「似たような例として挙げられるかもしれないのが、2012年に発生した国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所のウェブサイト改ざん事件です。この時の犯人は国際ハッカー集団の『アノニマス』でしたが、自民党や民主党などのウェブサイトが攻撃を受ける中、地方の一部局である霞ヶ浦河川事務所のウェブサイトがわざわざ狙われたことが日本のネットユーザーの間で話題になりました」
「その後、その理由については『霞が関と霞ヶ浦を間違えたのではないか?』との声が上がったほか、アノニマス側も『ちょっとミスしました。誤爆ごめんな(笑)』と、その疑問に答える形の声明をツイッター上で発表していました。要は、日本についての情報に詳しくない者が、それらしい所を狙った結果が霞ヶ浦河川事務所のウェブサイトだったわけですが、今回の吉岡さんの一件も、日本に詳しくない者が、先ほど挙げた『パスワードを入手できたアカウントの中ではフォロワーが多数ついている』『コンスタントに投稿を行っている』という点だけで、『攻撃に適している』と判断した結果ではないでしょうか」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)