岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「さようなら、大統領」最後の演説への支持者の思い

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「私たちの運動はまだ始まったばかり」

   まもなく、トランプ大統領がホワイトハウスを去っていく。今の思いをイオアンに尋ねると、穏やかな表情で話し出した。

「私は今、平安な思いです。トランプ氏はこの国の大統領ですから、当選した時から、私は彼のためにずっと祈り続けてきました。ただ、その人に愛を感じなければ、祈ることはできません。最初は彼の人柄を受け入れるのは、容易なことではなかったけれど、大統領としての彼の業績を評価するようになりました。
今聞いたトランプのメッセージは、私たちに喜びと希望を与えてくれるものでした。これからもこの国がいい方向へ向かうように、祈り続けます。もしそうでなければ、その時、また国民が新たな決断をするでしょう。でも、選挙が公正に行われたことを知る権利が、アメリカ人にはあります。それが明らかになるまでは、私はバイデンを大統領と呼ぶことはできません」

   トランプ大統領はメッセージの中で、「私たちの運動はまだ始まったばかりだということを、知っていてほしい」「私たちの国と子供たちにとって、最高のものはこれからやってくる」と語っている。

   この言葉を「希望」とみなす人もいれば、4年後の大統領選再出馬を匂わせているのかと「不安」とともに受け止める人もいる。

   2017年1月のトランプ大統領就任とともに始まったこの連載は、次回(1月21日公開)をもって最終回となる。

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

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