「鬼滅の刃」ヒットも寄与? イオンの業績がコロナ禍でも好調な理由

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   流通大手、イオンの株価が高値をうかがう場面が目立っている。

   店舗の郊外立地が多いことがコロナ禍で功を奏して業績が好調なため、2020年11月に約14年10か月ぶりに上場来高値を更新。それ以降は未踏の高値にいるわけだが、好材料が出てくるたびに投資家に注目されている。

  • イオン高値に投資家注目
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市場が注目したのは

   イオンの直近の高値(それが上場来高値でもあるが)は20年12月29日の3430円。11月に記録した14年10か月ぶりの上場来高値更新(3200円)から、さらに7.2%(230円)高い水準だ。

   これには12月23日に発表された2021年2月期連結決算の業績予想の上方修正が影響した。今やイオンのホームグラウンドとも言える郊外大型店で客足が回復していることが確認されたとして、買いが集まった。

   株価は年明け後、1月6日から小刻みながら終値ベースで4営業日連続上昇。13日に下落した翌日の14日にはさらに一伸びし、一時前日終値比1.3%(44円)高の3412円をつけた。

   その一伸びの材料となったのが13日の取引終了後に発表された「2020年9~11月期連結決算で営業利益が前年同期比2倍」という情報だ。同時に「2020年3~11月期連結決算」も発表されているのだが、12月23日に通期の業績予想が上方修正されていることもあって、市場が注目したのはより回復度合いを分析しやすい直近四半期の決算内容だった。

   それでは9~11月期の連結決算を詳しく見てみよう。

   売上高にあたる営業収益は前年同期比1.2%増の2兆1220億円、営業利益は2倍の342億円、純損益は50億円の赤字(前年同期は101億円の赤字)。営業収益については9~11月期として過去最高だった前年同期を上回った。これで9~11月期として11年連続の増収だ。営業利益も2010年を上回って9~11月期として10年ぶりに過去最高を更新した。純損益については店舗の減損損失といった特別損失が響いている。

「緊急事態宣言でのマイナス影響は限定的」

   事業別にみると主力のGMS(総合スーパー)が71億円の営業赤字ながら前年同期より33億円、赤字幅を縮小した。もともとイオン全体として「営業利益の約半分が年末商戦を含む第4四半期(12~2月期)に発生する傾向がある」とみられており、前年同期より改善したことは十分評価すべきことと言える。

   また、イオンモールの業績を示すディベロッパー事業の営業利益は110億円と総合金融(174億円)に次ぐ大きさだった。記録的ヒットとなった映画「鬼滅の刃」への集客がイオンモール全体に収益をもたらし、「サービス・専門店事業」の業績も底上げした。

   「マックスバリュ」などのSM(スーパー)や、ドラッグストアのウエルシアホールディングスなどのヘルス&ウエルネス事業も引き続き好調だった。イオンは「コロナの影響を受けた事業が回復する間、ヘルス&ウエルネスとSMが支えた」と指摘している。

   野村証券は9~11月期について「在庫適正化、粗利率改善、経費抑制を背景としたGMSの業績改善も見られ、全般に業績は順調との印象」とリポートに記した。コロナの感染拡大が業績に影響する可能性もあるが、SMBC日興証券は「郊外立地かつ必需品中心の事業が多く、今回の休業なき緊急事態宣言でのマイナス影響は限定的」と見ている。

   18日現在も株価は高値圏にあるだけに一進一退の展開が予想されるが、材料によってはさらに上場来高値を更新する可能性もありそうだ。

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