初めて行われた大学入学共通テストで、鼻出しマスクで再三注意を受けて失格となった受験生は、大学入試センターによると、「従いたくない」と強硬に試験監督の指示を拒否していた。
その指示に抵抗して、スマホで試験監督を動画に撮っていたというツイッター上の情報もあった。受験生は、なぜそこまで頑なだったのだろうか。
「次に注意された段階で無効になる」試験監督が警告するも...
「不正行為とみなしたのは、あくまでも監督者の指示に従わなかったからです。その認定については、問題があったとは認識していません」
大学入試センターの総務課は2021年1月18日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。
共通テストの「受験上の注意」には、「試験場内では、常にマスクを正しく着用」と書いてある。総務課では、「正しく着用」について、「厚労省と同じ認識です」とした。同省サイトでは、「国民の皆さまへ」として、「鼻と口の両方を確実に覆う」と正しいマスクの着用をイラストで説明している。
センターによると、今回失格となった受験生は、テスト1日目の16日、東京都内の会場で、最初から鼻を出したままマスクを着けて試験を受けていた。科目ごとに試験監督が注意したが従わず、6回目で「次に注意された段階で無効になる」と告げた。しかし、受験生は、7回目も従わず、不正行為と認定された。英語の試験途中で、退室を求められたそうだ。
「理由については、本人からの発言は特段なく、『従いたくない』という意味合いを言っていたと聞いています」(総務課)
「鼻出しマスク」がOKなケースとは
ツイッター上では、この受験生の近くにいたという人が18日、受験生は、かけているメガネが曇るので鼻出しにしたと言っていたなどと投稿した。
さらに、この投稿者は、試験監督が休み時間に別室に移るよう促しても、受験生は抵抗して動かず、スマホで試験監督を動画に撮り始めたという。その結果、他の受験生たちが教室を移動することになり、テスト開始が5分ほど遅れたとも書いている。同様な内容を伝える別の投稿者のツイートもあった。
NHKの1月18日付ウェブ版記事では、この受験生は40代で、不正を告げられると会場内のトイレに閉じこもり、駆け付けた警察官が退去させたと関係者が話したと報じている。
大学入試センターによると、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、寒冷地などのケースを除いて、1科目のテストが終わるごとの休み時間に、窓を10分間開けて換気をするようにしている。この冷気でメガネが曇りやすくなったという苦情が出ていたかについて、総務課では把握していないとし、失格となった受験生がメガネのことを言っていたかは報告を受けていないとした。
先述した受験上の注意では、マスクが難しいときは、医師の診断書を出して、受験上の配慮を求める申請を行えば、別室で受験できるとある。当日に申し出があれば、追試験の申請をすることになる。報道によると、失格となった受験生は、事前の申請はなかったという。
メガネが曇るといった理由が認められるかについては、総務課は、こう言う。
「そのような理由はダメですね。皮膚が過敏だったり、呼吸器系の病気であったりする場合になります」
失格となった受験生は、追試験も受けられないが、2022年の受験はできるとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)