岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 
対立する両派が信じる「自分たちこそ真の愛国者」

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   「REMOVE TRUMP (トランプを追い出せ)」「THE TIME IS NOW(時は今だ)」――。異例の厳戒態勢の中、バイデン米次期大統領就任式(2021年1月20日)の準備が着々と進む首都ワシントン。

   4年間にわたるこの連載の終盤に、連邦議事堂乱入事件(1月6日)へ至るまでの3回の現場ルポ、その後「フェンスと兵士に囲まれたワシントン」に怒る市民について書いた。今回は、「トランプよ、出ていけ!」と最後の最後まで声をあげ続ける人たちを取り上げる。

  • トランプ支持者らが議事堂に向かって行進したペンシルベニア・アヴェニューには、バイデン支持者らが「トランプを追い出せ」などと書かれたサインを持って集まっていた(2021年1月15日、筆者撮影)
    トランプ支持者らが議事堂に向かって行進したペンシルベニア・アヴェニューには、バイデン支持者らが「トランプを追い出せ」などと書かれたサインを持って集まっていた(2021年1月15日、筆者撮影)
  • トランプ支持者らが議事堂に向かって行進したペンシルベニア・アヴェニューには、バイデン支持者らが「トランプを追い出せ」などと書かれたサインを持って集まっていた(2021年1月15日、筆者撮影)

「IMPEACH(弾劾せよ)」

   議事堂乱入事件後、警備強化のため、その周辺に2メートルほどの高さのフェンスが設置された。

   1月12日、フェンスの手前で1人の男性ビル(70)が、約2メートルの縦長のサインを掲げて立っていた。水色の文字で縦に「IMPEACH(弾劾せよ)」と書かれている。

   民主党が大多数を占める下院は先週、議事堂乱入を煽ったとして、トランプ大統領の弾劾訴追を決議した。上院で弾劾裁判が行われることになる。

   ビルは、オレゴン州ポートランド郊外から抗議のために訪れた。抗議はその日が5日目だった。彼は一気に、私にこう語った。

「2021年1月6日は、アメリカの恥辱として記憶に刻まれる日だ。共和党とFOXニュースの支持を得た日和見主義で利己的な大統領に駆り立てられ、この国が国内テロリストたちに襲撃されたんだ」

   傍らでビルを見守る妹が、私にこう話す。

「トランプは、この責任を取るべき。兄も私も、この国を愛するアメリカ人。愛国者であることを示すために、ここに来たの。この国が力を合わせ、平和に繁栄することを、心から願っている」
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