通称「空箱上場」...米市場で流行する「SPAC」とは何なのか そのメリット、懸念点を解説する

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SPAC隆盛にコロナの影響?

   SPACの隆盛は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が指摘される。

   「コロナによる経済の変調で、資金調達環境が変わり、通常のIPOにも逆風が吹いたことで、比較的短期間で上場できるSPACへの需要が一気に高まった」(証券関係者)という。コロナ禍に対応した金融緩和で世界の金融市場にはお金があふれていることもSPACを後押ししている。

   ただ、問題も指摘される。市場では過熱ぶりを警戒し、バブルの兆候と懸念する声が出始めた。

   有望なIPO候補がSPACに奪われるとの危機感が、新たなSPACの設立を加速させる循環に入っているとの指摘もある。上場候補の企業を多くのSPACが競って追いかければ、実態以上の買収価格がつくことになりかねない。SPACの期限が近づけば、優良とは言えない案件を買い急ぐ恐れもある。

   例えば、ソフトバンクのSVFが巨額出資する共有オフィス賃貸の米ウィーワークは2019年、IPO寸前に経営状況が悪化し、上場を断念して再建に努めているが、米経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」電子版(日本語版)の記事「SPACブーム、バブル懸念拭えず」(20年10月20日配信)は、

「仮にソフトバンクが昨年(2019年)、SPACを設立して運営していたとすれば、......ウィーワークはIPOプロセスの精査を免れ、経営が傾く前に上場していたかもしれない」

と書いている。

   「今後は乱立したSPACの選別が進むだろう」(証券関係者)とみられるが、いずれにせよ、問われるのは、有望な未上場企業を見いだすSPAC側の目利きの能力だ。

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