米議事堂乱入事件の翌日(2021年1月7日)、黒人差別などに抗議する人たちの「聖地」とも言えるホワイト・ハウス前の「ブラック・ライブズ・マター・プラザ」では、「BLACK LIVES MATTER」の大旗が悠々とはためいていた。
フェンスの反対側では、トランプ支持者の女性3人が祈りを捧げている。しばらくすると、高齢の男性が「TRUMP」の大旗を手にやってきて、反トランプ派の男性と穏やかに意見を交わし始めた。
「こんなワシントンを見たことがない」
そこへトランプ支持や星条旗の大旗を翻した車の列が現れ、「Thank you, President Trump(ありがとう、トランプ大統領)」「God bless America(アメリカに神の御加護がありますように」などと放送する声と延々と続くクラクションの音が静寂を破った。
通りがかった若者が、車の列に向かって罵声を浴びせた。
事件の翌日から、議会議事堂周辺を中心に高さ2メートルほどのフェンスやブロックが設置され、警官や州兵が日に日に増えている。全米から集まったトランプ支持者たちが、自分たちの住む町へ次々と帰り姿を消すと、ワシントンは再び民主党支持者が圧倒的に多いブルーの街へと戻っていった。今回の大統領選で、トランプ大統領に投票した人は、5%にも満たない。
議事堂の東側に広がる住宅街で出会った40代の男性は、「僕はこのすぐそばに住んでいる。あいつらのせいで、ここがフェンスと兵士に囲まれ、戦場のようだ。こんなワシントンをこれまで見たことがない。この街からとっとと出ていけ」と怒りを露わにした。