大正時代からマンガを舞台化 NHK「おちょやん」で脚光浴びた宝塚歌劇団の先進性

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   100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇団は、古典文学・歴史・海外ミュージカルなど古今東西のあらゆる題材を舞台化してきた。マンガの舞台化もお手の物で、この2021年にも「シティーハンター」を雪組公演で上演予定だ。

   他にも近年の作品だけでも「ポーの一族」「天は赤い河のほとり」「はいからさんが通る」などを上演してきたが、この宝塚とマンガの接点はなんと大正時代までさかのぼる。その初めての接点が、NHKの朝ドラ「おちょやん」でもエピソードに採用された。

  • 宝塚大劇場
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97年前、人気の4コママンガに着目

   「おちょやん」は松竹新喜劇の女優・浪花千栄子の生涯をモデルにしたドラマで、第5週で主人公の竹井千代(演・杉咲花さん)が山村千鳥一座の女座長・山村千鳥(演・若村麻由美さん)の世話役に採用され、下積みの日々が始まる。

   1月8日の放送で、客入りに悩む山村千鳥一座の打開策として、一座の女優の薮内清子(演・映美くららさん)が当時の人気マンガ「正チャンの冒険」を一座で上演することを提案する。

   「ついこないだ、これを宝塚歌劇団が上演して大盛況やったそうです」と清子が自ら書いた台本とともに千鳥にかけ合った。役者のプライドでマンガの上演など...と小バカにしていた千鳥も座員の熱意に押され、第6週では千代も含めた座員で「正チャンの冒険」上演に向かっていく。

   清子役の映美さんは2001年から04年まで月組で娘役トップを務めた元タカラジェンヌだったこともメタ的な配役で、放送当時は視聴者の話題を呼んだ。

   「正チャンの冒険」が宝塚で上演されていたのは、れっきとした史実である。この4コママンガは1923(大正12)年から雑誌「アサヒグラフ」と朝日新聞に連載された冒険ファンタジーで、子どもから大人まで親しまれた作品だった。

   宝塚では1924(大正13)年10月に、この年完成したばかりの初代・宝塚大劇場で月組・雪組の合同公演で行われ、「正ちゃんの冒険」「葛の葉」「フルスピード」「お夏笠物狂」「ジプシーライフ」の5本立てで上演されていた。

   主な配役は主人公の正ちゃんに天津乙女さん(後に宝塚の功労者の1人に数えられ、功労者を顕彰する「宝塚歌劇の殿堂」入りする)、相棒のリスに住江岸子さんが起用された。なお原作表記は「正チャン」だが、宝塚の公演タイトルは「正ちゃん」になっている。

   宝塚歌劇団の100年史「虹の橋渡りつづけて」にも公演があったことが収録され、劇団機関誌「歌劇」の読者投稿欄「高声低声」には感想が投稿されている。「子どもだまし」という評価もあれば「正しく天下の名編。際物なれば際物なるだけ面白し」と絶賛するもの、また「正ちゃんにリス本当に可愛い」という率直な感想も誌面に残っている。

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