緊急事態宣言を受けた20時までの営業時間短縮(時短)要請に飲食業界が苦慮する中、新たな店舗運営のあり方を示した店がある。
東京・代々木上原のフレンチ店「sio」は、2021年1月12日から20時までの時短営業と並行し、これまで営業していなかった朝に「ディナー」の提供をはじめた。異例の取り組みはSNS上で話題を呼び、緊急事態宣言期間中の予約はいっぱいになった。
ただ、提供機会の確保を目指した店の姿勢には「夜よりコロナが感染しにくくなるとでも思っているのか」といった厳しい声も寄せられたという。オーナーシェフの思いは。
レシピ集の書籍化で注目浴びる
最初に緊急事態宣言が出された1都3県のうち、都は1月8日から飲食店、カラオケ店などに営業時間短縮を要請。神奈川、埼玉、千葉の3県は8日から酒類提供の飲食店などに時短を要請し、12日からは酒類の提供有無にかかわらず要請を始めた。宣言中は、いずれも酒類の提供が11時~19時に限定される。要請に応じた事業者には、店舗ごとに1日あたり6万円の協力金が支払われる。一方で、宣言が出た都道府県の知事は時短要請に従わない飲食店の店名を公開することも可能になっている。
20時までか、平常通りか。業界内でも対応が分かれる中、緊急事態宣言下の店舗運営で「第三の道」を提示したのが東京・代々木上原の「sio」だ。sioはミシュランガイド東京で2年連続一つ星(2020、2021)を獲得したフレンチの有名店だ。一度目の緊急事態宣言が出されていた20年春には、外出を控える人に向け、店の味を自宅で再現できるレシピ「#おうちでsio」をnoteで展開。レシピ集は9月に書籍化され、多くのメディアが取り上げた。
「『#おうちでsio』を通じて新しいお客様との繋がりを得たことで、『味の答え合わせ』を目的に店を訪れてくれる人が増えました」
「sio」オーナーシェフの鳥羽周作さんは1月12日、J-CASTニュースのオンライン取材に対し、こう語った。鳥羽さんによるとコロナ禍を経て店の評判は上昇し、20年12月は過去最高の売り上げを記録したという。