短時間で記事を量産する「魔のシステム」
スカウト先でヒロコさんが記事を執筆していたのはごく初期のみで、業務はすぐに、かつての自分のようなフリーランスのライターに化粧品の品評記事の執筆を依頼し、届いた原稿をチェックして矢継ぎ早にアップするという作業に変わってしまったという。
あこがれのライター業を早々に放棄せざるを得ず、かつて自分に仕事を振っていた存在に成り代わってしまったことに疑問を感じつつも、徐々に「ペンの力で悪を倒したい」という思いは薄れ、初心が麻痺し始めていったというヒロコさん。
何だか他人事とは思えないエピソードが飛び出したことに驚きつつも、筆者は番組を視聴し続ける。
なお、筆者は手法こそ「こたつ記事ライター」と変わりないことは多いが、さすがに数だけを追い求めて記事を濫造することはない。電話取材をしたり、識者にコメントを依頼したりすることもよくある。一口に「こたつ記事」といっても、その形は様々ということだけは申し添えておきたい。
番組にもどろう。新たに登場したのは、ヒロコさんの知り合いというサキさん(仮名)だ。サキさんはこれらの記事を量産する上で、業界では「魔のシステム」とよばれているというその手法を紹介。
なんでも、その方法とは、アンケート形式で一般人から化粧品の情報を集め、それを記事のテンプレートにはめ込むことで、短時間で品評記事を量産するというもの。ヒロコさんは「もはや、これ、ライターの仕事じゃない」と思ったことを明かしたのだった。