俳優の菅野美穂さんと浜辺美波さんがダブル主演するドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日テレ系)の第1回が2021年1月13日に放送された。恋愛小説家の母とオタクの娘のラブコメディーで、一話ではこの2人が「恋をしよう!」と決心する。
しかしドラマで描かれた「オタク像」には疑問の声が寄せられている。
「おぃ!!!こっちは隠してんだぞ」
浜辺さん扮するオタクの娘・水無瀬空は、「非モテで、愛想なし」で「筋金入りの漫画オタク」という設定だ。20歳の大学生で、「ハードなBLや血みどろのダークファンタジー、ドメジャーな漫画から同人誌まで守備範囲広く読む」という。
話し方も漫画好きが反映されており、母とその仕事仲間の前で「ウソウソウソウソコツメカワウソ!!」と、漫画「幸せカナコの殺し屋生活」の台詞を披露した。
初登場シーンでは、胸にキャラクターの缶バッチを付け、大きなキャリーケースを抱えて現れた。帰宅後、母にどこへ行ってきたのか尋ねられると、こう述べる。
「あなたの娘さんはビッグサイトでエロいマンガを買ってきました。山ほど」
キャリーケースの中には、男性同士のラブシーンを匂わせる成人向けの薄い本が大量に詰まっていた。
しかし空のこのような言動には、視聴者から疑問の声も上がった。「隠れオタク」、「擬態オタク」...そういった言葉も生まれている現在、日常生活と趣味関係を切り分けて両立させるオタクも多い。そんな中で、「同志」以外に趣味をぶつけていく様子に驚く視聴者もいた。
「エロい本買ってきたとか言うなよ!!!!!おぃ!!!こっちは隠してんだぞ」
ちなみに予告によれば、次回は「隠れ二次元オタク」が登場するという。
「一回制作スタッフに腐女子とはなんたるかを説き伏せたくなったわ」
さらに第一回で描かれた空の「オタク」像については、現実のオタクに似つかないといった声も多数寄せられている。
「あんな可愛い顔でオタクでコスプレイヤーで彼氏ができないわけないでしょ...どちゃクソイケメンレイヤーの男と付き合うくらいの設定でちょうど良くない?」
「古い...古すぎる...セリフとかノリが一々寒い オタクはこんな喋り方しないし 脚本どうにかして」
「一回制作スタッフに腐女子とはなんたるかを説き伏せたくなったわ。まず、確実にR-18BL本はこそこそと国家機密くらい用心して運びます」
空は、表情やメイクに拘る「コスプレ」を趣味としている上に「美形」設定であることが示唆されている。それなのにイベント帰りではない学校シーンでも、愛想がなく地味なメイク、全体的に黒い服で宇宙柄のリュックを背負う独特なファッションをしていた。
そのほか、「母親もしゃべり方がオタクっぽい...」という声も。全体的に仰々しく話す人が多いドラマだが、特に菅野さん演じる母・水無瀬碧はかなり癖のある喋り方をする人物。「ガーン」と自ら効果音を言ってしまったり、推しキャラの喋りを真似るように木村拓哉さん風の喋り方をしてしまったりする様子にはどこか「オタク」らしさが見える。さらに取材を受ける際には「斜め右上」から撮るように指示するなど、顔が「盛れる」ことを意識するコスプレイヤーのような言動も見られた。
また母親については、娘に価値観を娘に押し付けるような描写が多く、不快感を示す声もある。娘に彼氏がいない理由を「オタク」だからとこじつけることや、娘の恋愛を強く望むことなどには時代錯誤だという指摘もある。
「この恋愛以外にも楽しみや幸せがたくさんある時代で恋愛至上主義の価値観を全面に出していくのはやめとけよ...」
「恋愛って義務じゃないでしょ。いろんな価値観あるのよ。ドラマの内容が古すぎて離脱」
ネガポジ診断ではポジティブ寄り
しかし全体的には「面白かった」といった肯定的な反応が多い。
「めちゃくちゃスピード感あったし、菅野さんのキャラクターや美波ちゃんのキャラクターがめちゃくちゃ合ってて、すごい面白かった~」
「テンポも良くて面白かった!癖のある登場人物も菅野美穂さんと浜辺美波さんだから迷いなく可愛い。可愛いは正義。岡田健史くん目当てで見出したから来週からの展開楽しみすぎる」
SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」でツイッター上の投稿を分析してみても、ポジティブな声は約28%、ネガティブな声は約2%という結果がでた。
発言ユーザーのプロフィール分析では、「音楽」、「成人」、「映画」に続いてBL表現好き意味する「腐る」といった単語が浮上した。このほか、「舞台」、「コスプレ」、「声優」やジャンル名を示す漫画・アニメ関連用語もあがっており、楽しんでいるオタクも一定数いるものとみられる。
またリアルでない「オタク」描写だという批判の声は多いが、「FAIRY TAIL」で知られる真島ヒロさんの最新作「EDENS ZERO」、「徒然チルドレン」で知られる若林稔弥さんの「幸せカナコの殺し屋生活」のネタを用いるというのは、意外とニッチとも言えなくもない。
まだ第一話であることからも今後、作中で描かれる「オタク」や「母」のイメージが変わっていく可能性も十分あるだろう。