コロナ「5類」は「ありえない」 「新型インフルエンザ等感染症」分類検討の理由、厚労省に聞いた

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   新型コロナウイルスは現在、危険性が比較的高い1~3類などの措置ができる「指定感染症」とされているが、政府は、強い措置が講じられる「新型インフルエンザ等感染症」に分類変更する方針だと、共同通信や毎日新聞が報じた。

   ただ、医療関係者の一部からは、保健所や公立病院の負担を減らすため、季節性インフルエンザと同じ「5類」に分類して、高齢者や基礎疾患のある人に対策を絞るべきだとの意見もある。厚労省に話を聞いた。

  • コロナは、新型インフルエンザ等感染症に?(厚労省の資料から)
    コロナは、新型インフルエンザ等感染症に?(厚労省の資料から)
  • コロナは、新型インフルエンザ等感染症に?(厚労省の資料から)

医療負担の軽い「5類」にすべきだとの意見も出ていたが...

   コロナの対策強化に向け、政府は、2021年1月18日から始まる通常国会に提出する予定の感染症法の改正案作りをしていると報じられている。

   その中で出てきたのが、感染症としてのコロナの分類変更だ。

   現在は、入院勧告や交通制限などができる「指定感染症」と暫定的に決められている。しかし、1年が経過して見直しが行われており、一部報道によると、政府は、新型インフルエンザ等感染症に分類変更する方針だという。

   この分類では、国民が免疫を獲得していないことが重要視され、政令でエボラ出血熱などと同じ1類の措置を取ることができる。それは、交通制限などの強いものだ。また、感染した恐れのある人に健康状態の報告や外出自粛も要請できる。

   とはいえ、保健所や公立病院などでは、感染者の急速な拡大で、負担がますます重くなっている。東京都や神奈川県では、保健所が濃厚接触者などの調査を高齢者などに絞ったと報じられているほどだ。

   そんな中で、医療関係者からは、保健所などの負担を減らすため、コロナを季節性インフルエンザなどと同じ5類に分類すべきだとの意見も出てきている。軽症者や無症状の感染者は、一般病院の外来で診察できるようにして、高齢者や基礎疾患のある人に重点的に対応するというものだ。

「今取っている措置は、新型インフルエンザ等感染症と同じもの」

   共同通信の報道によると、2020年8月下旬には、厚労省がコロナ分類の見直しを検討することを決め、政府内には、コロナを5類に引き下げることを容認する考えが出ていたという。

   ところが、21年1月12日の共同報道では、強い措置の新型インフルエンザ等感染症に分類する方向になり、厚労省幹部が5類変更について「現在の高い致死率と感染力を考えると難しい」と話したとしている。

   厚労省の結核感染症課は13日、J-CASTニュースの取材に対し、新型インフルエンザ等感染症に分類する方向で検討していると認めたうえで、その理由について、次のように説明した。

「今取っている措置は、健康状態の報告や外出自粛も要請しているなど、新型インフルエンザ等感染症と同じものになっています。確かに、指定感染症のままですが、組み合わせる措置は自由にできますので、その結果として、新型インフルエンザ等感染症が一番近くなったということです。それを踏まえて、昨年12月17日の感染症部会で、その選択肢がいいのではないかと提案したわけです」

   コロナは、最初2類相当だったが、20年2月14日には1類に近くなり、同年3月には、すでに新型インフルエンザ等感染症に近かったという。

「5類と同じこともできるが、現状ではそれはありえない」

   感染症部会では、「まったく新しいカテゴリが必要ではないか」など様々な意見が出たが、1月末が期限となる指定感染症の分類を1年延長することが決まった。

   しかし、指定感染症は、最大2年に限定されているため、結核感染症課では、コロナを新型インフルエンザ等感染症に入れるための感染症法の改正案を通常国会に提出し、6月までの会期中に成立を目指したいとしている。

   1月15日に開かれる予定の感染症部会では、コロナを新型インフルエンザ等感染症の分類にするかについて、改めて議論するそうだ。

   コロナを5類に分類することについては、否定的だ。

「政府が緊急事態宣言を出していて、感染拡大を阻止すべきと様々な対策を打っているときに、5類にすれば、権限がなくなって何もできなくなります。保健所が法的な裏付けを持って活動できなくなりますので、ありえないでしょう。新型インフルエンザ等感染症になっても、様々な措置を取る権限があるのにそれらを使わないという選択肢もあります。入院勧告などをしないでおけば、5類と同じこともできるわけです。しかし、現状では、政府の対応と一致しないことになります」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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