岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 
「大統領は結果的に煽った」ある共和党支持者の思い

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「選挙結果に満足しなくとも、それを受け入れるべき」

   1月6日にワシントンで集会とその後の議事堂への行進に参加したトランプ支持者らは、大統領選に不正があったと固く信じている。

   これに対しトムは、「ほとんどの人は私と同じように、トランプ氏に一票を投じても、法廷で負けた時点でその結果を受け入れているはずだ」と言う。

   トム自身、現役時代に、2004年のジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)対ジョン・ケリー氏(民主党)の大統領選で、不正を目撃したという。

「どの選挙でも何らかの不正は行われている。ただ、結果が変わるほどの不正ではないはず。トランプ大統領は、法廷で負けたあとも支持者たちを焚き付け、希望を与え続けるべきではなかった。選挙結果に満足しなくとも、それを受け入れるべきです。選ばれた大統領のすることが気に入らなければ、また4年後の選挙で勝負すればいいのですから」

   自分が一票を投じたわけではないが、トムはバイデン氏を、この国の大統領として迎える準備ができている。

   次回は1月16日に、大統領就任式の準備が着々と進むワシントンで、民主党支持者たちの声を伝える。

(次回に続く)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

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