菅義偉首相は2021年1月13日、新型コロナ特措法の対象地域拡大を決めたことを受けて記者会見した。
1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)への発令を受けて1月7日に開いた記者会見では、1都3県への発令について否定的な見方を示していた菅氏。1週間で判断が変更されたのは、なぜなのか。
「結果的に見通しが甘かったのではないか」
新たに対象に加わるのは栃木、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡の7府県。期間は、先行して1月8日から発令された1都3県と同じ2月7日まで。1月7日の記者会見では、仮に大阪への発令を検討する場合、同じ経済圏である京都と兵庫も一体的に判断するかについて記者から問われ、菅氏は1都3県以外の感染状況が厳しくなった場合については「様々な対策、措置というのは必要」とする一方で、緊急事態宣言の発令については
「現時点においては、私はそうした状況にはないと思っている」
としていた。
このやり取りを念頭に、今回の記者会見では、
「結果的に見通しが甘かったのではないか。今後、宣言を全国に拡大する可能性はあるのか」
という指摘が出た。菅氏は
「先週の段階では、大阪の感染者数が急増したのは直前のことであり、専門家の皆さんからも『よく分析をすべきである』、そうした評価だった。それに基づいて、私は1都3県を対象にする判断をした」
とした上で、今回対象に加えた7府県については、新規感染者数や病床の利用率が、最も感染状況が深刻な「ステージ4」に該当することや、大都市圏は人口が集中して全国に感染が広がるリスクがあることなどを踏まえて判断したと説明した。
尾身氏「東京と大阪、首都圏と関西、大ざっぱに言えば半月ぐらいの時間差があった」
今回の記者会見でも、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が同席。引き続き菅氏が尾身氏にコメントを求める場面が目立った。
尾身氏は1週間前には否定的だった大阪が対象地域に加わった経緯について、東京では、12月中旬の時点で「ステージ4」の判断基準のひとつである「人口10万人当たりの全療養者数25人以上」を満たしていたことや、12月29日では東京都のモニタリング会議でも「逼迫している」という指摘があったこと、31日になって感染者数が急上昇したことを説明。
対する大阪は「東京とは違って、年末までには下降の傾向を示していた」し、10万人あたりの全療養者数が25人を超えたのは年が明けてからだったことから、「そういう意味では、東京と大阪、首都圏と関西、大ざっぱに言えば半月ぐらいの時間差があった」とした。 さらに、東京では大阪よりも早く入院調整に支障が出ていることが表面化したことを挙げた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)