昭和史研究、半藤一利さん死去、90歳 なぜ「私の一生はフィクション」と語ったのか?

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「歴史探偵」を自称

   半藤さんは長年、編集者だったこともあり、わかりやすい語り口と巧みな構成で、複雑な歴史の真実を伝えることに秀でていた。自身を「歴史探偵」と名付け、テレビなどにも積極的に出演、一般読者や視聴者の素朴な疑問に答えるスタンスを貫いた。晩年は主として新書本で長年の成果を開陳した。

   『なぜ必敗の戦争を始めたのか』(文春新書)は、「陸軍エリート将校」たちが戦後に行った「反省会議録」をもとに日本が戦争に突き進んだ経緯を解き明かし、南進に踏み切った理由について、陸海軍とも、最終目標は東南アジア諸国が産出する石油や鉄鉱石の資源獲得だった、と解説している。

   過去の膨大な著作から、エッセンスを抜きだし、年代記風にまとめ直した『歴史と戦争』 (幻冬舎新書)の「あとがき」では、以下のように語っている。

「私を含めて戦時下に生を受けた日本人はだれもが一生をフィクションの中で生きてきたといえるのではなかろうか。万世一系の天皇は神であり、日本民族は世界一優秀であり...日本軍は無敵であり...そんな日本をもう一度つくってはいけない」
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