巨人は原則として、茶髪、長髪、ヒゲが禁止されている。
創設者の正力松太郎氏の遺訓である「巨人軍は常に紳士たれ」が根源になっている。他球団からきた選手たちも「郷に入っては郷に従え」でこのルールを順守している。
他球団のヒゲ事情は...
ただ、ヒゲに関しては全面的に禁止というわけではない。1994年に横浜(現DeNA)から移籍してきた屋鋪要はトレードマ―クだった口ヒゲを残すことを容認されたため、剃ることなく巨人でもプレーしている。だが、屋敷のようなケースはレアだ。
日本ハムから07年にFA移籍した小笠原道大は当時の渡辺恒雄球団会長(現最高顧問)から髭を容認されたにもかかわらず、「新しいことが始まるので、ずっと決めていた。男のけじめだと思った。風貌じゃない。心の部分が一番大事だと思う」とキッパリ。戦国武将のような風貌で人気の象徴だった口ヒゲ、顎ヒゲをきれいに剃った。
今オフにDeNAからFA移籍した梶谷隆幸も長年生やしていたひげをそり、入団会見に臨んでいる。メジャー通算96本塁打の新外国人のエリック・テームズも内野手も長い顎ひげがトレードマークだったが、巨人に入団合意するとヒゲをそることを明言した。
他球団を見渡すと、チームカラーが如実に出る。セリーグの選手を見ると黒髪が多いが、パリーグの選手は茶髪、金髪が珍しくない。「野球で結果を出して、常識から逸脱した行動をしなければ個性として認める」という球団の方針なのだろう。
ソフトバンク・柳田悠岐、西武・森友哉、山川穂高、日本ハム・中田翔、西川遥輝、オリックス・山岡泰輔などを筆頭に明るい髪色に染めた経験がある主力選手が多い。髭で言えば、ロッテの石川歩だ。顔の下半分がふさふさの髭で覆われている。
石川は13年ドラフト1位で指名された際、巨人とロッテの競合だった。もし、抽選で巨人に入団していたら、現在とは全く違う風貌で投げていたかもしれない。
セの選手は「見た目がおとなしい」?
野球ファンからは「もちろんプレーで魅せるのがプロ野球選手だけど、茶髪やヒゲもOKでいいと思う。茶髪やヒゲの外見がだらしないという考え方が時代遅れでしょ」というコメントや、
「個々の選手が伸び伸びプレーしているパリーグに茶髪が多いのは分かる気がする。セリーグの選手は見た目がおとなしいよね。プレーで魅せる選手も少ないし。自分にプレッシャーをかけるために批判覚悟で見た目から派手な髪形にするのもありだと思う。DeNAの山下幸輝はおとなしくて真面目な選手だったけど金髪にして吹っ切れたのか、昨年は代打で活躍していた。こういう選手が1人でも多く出てきてほしい」
という意見も。
一方で、「ヤンキースが巨人のように長髪、ヒゲが禁止にしているように、身だしなみに厳しい球団もチームの色だと思う。子供が野球ファンの親からすれば巨人のような球団の方がありがたいかな」と教育的目線で巨人のルールを支持する声も少なくない。
巨人の「茶髪&ひげ禁止」も一つの個性なのかもしれない。