日本海側を中心に降った記録的な大雪により、北陸の高速道路や国道で大規模な渋滞や立ち往生が発生した。そんな中、福井のとんかつ店「熟成かつ天膳(あまぜん)」の店主は、立ち往生しているドライバーらに弁当を無料で配った。
J-CASTニュースは2021年1月12日、自ら直接弁当を配って回った店主・天谷健二さんに電話で話を聞いた。
「せめて美味しいカツ丼で元気を出してください...」
福井県内に2店舗を構える豚かつ店「熟成かつ天膳」は10日、大雪の営業で臨時休業を余儀なくされた。北陸道の近くに住む店主の天谷さんは渋滞の様子を目の当たりにし、お弁当を配ることを決心した。「休業で材料も余ってしまうから」と最寄りの店まで歩き、一人で50人分のかつ丼弁当を用意した。その際、ツイッター上にはこう想いを綴った。
「天膳はお休みですが、北陸道の高速で立ち往生されているドライバーさんたちにと、ありったけのお弁当を用意して店主が歩いて配ってます... せめて美味しいカツ丼で元気を出してください...」
天谷さんによると、ドライバーのほとんどが単身で立ち往生となってしまった男性で、心細そうに過ごしていたという。さらに当時は渋滞についての情報が少なかったとして、天谷さんは知っている限りの交通情報をドライバーたちに伝えながらお弁当を無料で配って回った。
賛否両論、それでも...
天谷さんのこの行動についてSNSでは、「なかなか出来ることじゃない」「素晴らしい」といった感動する声が多数寄せられた。一方で、売名行為ではないか、などといった心無い誹謗中傷も寄せられている。こうしたSNSでの反応について、天谷さんはこう話す。
「SNSでは批判の声も称賛の声も寄せられました。しかし苦難の時こそ一人一人ができることに取り組み、助け合うことで乗り越えていきたいです」
また投稿を見たユーザーからは、「福井行ったら行かねばならぬ」、「この店でソースカツ丼食べてきます」と応援する声もたくさん寄せられている。
今回配られた「熟成かつ天膳」のソースかつ丼は、福井県のご当地丼として親しまれており、低温管理でじっくり熟成させた豚肉に、リンゴやトマト、玉ねぎなど野菜をふんだんに使用した特製ソースを絡めた味が自慢だ。
天膳はお休みですが、北陸道の高速で立ち往生されているドライバーさんたちにと、ありったけのお弁当を用意して店主が歩いて配ってます…
— 熟成かつ天膳(てんぜんじゃなくてあまぜん)福井名物【公式】味変して食べるとんかつはうちの名物です (@amazenhonten) January 10, 2021
せめて美味しいカツ丼で元気を出してください…
立ち往生のドライバーさんに伝わるよう、拡散してくださると嬉しいです pic.twitter.com/cRPB3rrTkE