カスタムカーやチューニングカーの祭典「東京オートサロン2021」が新型コロナウイルスの影響で開催中止となった。代わりに2021年1月15日午前9時から「オンラインオートサロン」を無料で開く。
毎年新春が恒例となっている東京オートサロンは、1月15~17日、千葉市美浜区の幕張メッセ(日本コンベンションセンター)で開催する予定だった。
世界最大級のカスタムカーイベント
東京オートサロン事務局は2020年12月23日に開催中止を発表。「年に一度のカスタムカーの祭典をファンの皆さまにお届けすべく、中止決定の直前まであらゆる努力を続けてきました。開催まで1カ月を切ったタイミングでのお知らせとなり、楽しみにお待ちいただいていた皆さまには大変申し訳なく、心よりお詫び申し上げます」とのコメントを出した。
事前に購入したチケットは、各人が購入したプレイガイドで2021年1月15日~31日の期間に払い戻しを行うという。
東京オートサロンは1983年にチューニングカーマガジン「OPTION」誌の初代編集長が「東京エキサイティングカーショー」としてスタートさせたのが始まり。4年後の1987年からは現在の「東京オートサロン」となり、年々規模を拡大。今日では世界最大級のカスタムカーイベントとなった。
近年はチューニングメーカーだけでなく、トヨタ自動車や日産自動車など国内外の自動車メーカーが多数出展し、東京オートサロンに合わせて新モデルを発表するケースが増えた。このため2年に1度の東京モーターショーよりも、毎年1月の東京オートサロンの方がクルマ好きには注目されるようになった。
前回2020年の東京オートサロンで、トヨタは「GRヤリス」を世界で初公開した。GRヤリスは世界ラリー選手権(WRC)に参戦復帰し、世界チャンピオンとなったトヨタが、WRCのノウハウを投入した市販モデルとして、最大級の話題となった。
2021年はトヨタが今年フルモデルチェンジする2代目「86(ハチロク)」を世界で初めて公開するとみられていた。
バーチャル空間に会場を再現へ
2代目86はトヨタがSUBARU(スバル)と共同開発した新型スポーツカーで、スバルでは2代目「BRZ」として発売する。姉妹車のトヨタ86とスバルBRZは世界的に熱烈なファンが多く、2012年の初代デビュー以来のフルモデルチェンジが期待されていた。スバルはトヨタに先行し、2代目BRZを2020年11月に米国で初公開した。
しかし、トヨタは2代目86について沈黙を守っており、1月の東京オートサロンがデビューの舞台と目されていた。2020年のGRヤリスに続き、トヨタが2代目86を2021年の目玉と位置付けていたのは間違いない。それだけに今回の開催中止には、ファンの失望は大きい。
とはいえ、やむを得ない判断だろう。今回のオンラインオートサロンは、生放送による「オートサロンTV」と、会場を3D空間でバーチャル再現した「バーチャルオートサロン」の2本立てとなる。恒例のデモランなどが見られないのは残念だか、2代目86が登場するかどうかなどを含め、オンラインの開催に注目したい。