2021年のバレンタインデー(2月14日)は新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で迎えることになりそうだ。しかし、早くも熱気が漂っている。
百貨店や菓子メーカーなどはコロナ禍の中で「おうちバレンタイン」になると見込み、「家族でシェア」「旅する気分」などをテーマに、さまざまな工夫を凝らした商品を準備。
ネット注文に力を
そごう・西武は年明け前の12月からバレンタイン商品のネット受注をスタートした。感染予防から多くの人は混雑した会場に足を運んで買い物するのを避け、ネットで注文するだろうとの読みからだ。ネット購入を促すとともに、まずはバレンタインデー前に一足先に試してみてほしいと「おためしバレンタイン」と銘打った特設サイトも12月から設けた(2021年1月7日で終了)。お薦めの商品は、家族で分け合って楽しめる30粒詰めなど大入りのチョコや、コロナ禍の中で頑張った自分へのごほうびとしての華やかな高級チョコなどだ。1月8日以降は「本会期」とし、販売を本格化させる。
松屋は1月4日のネット販売を皮切りにバレンタイン商品の販売を開始する。2021年のテーマは「旅するバレンタイン」だ。「コロナ禍で旅行に行きたくてもいけない中、自宅にいながら『旅をしている』かのようにバレンタインを楽しんでいただきたい」としており、全国各地の特色ある食材を使ったチョコを集めて提供する計画だ。沖縄県のサトウキビ糖で炊き上げた新ショウガ、鹿児島県のダイダイ、高知県のベルガモットなど、えりすぐりの素材を使用しているのが大きな売りという。
「ファミチョコ」盛り上がりそう
他方、洋菓子メーカーのメリーチョコレートは、コロナ禍にみまわれた2020年は思うように旅行や外出、外食に行けず、楽しさが絶対的に不足している人たちが多いとして、「エンターテインメントとしてのチョコレート」を重視。自分が好きなように楽しめて、わくわくできる「Ji-Ko-Chu(ジコチュー)バレンタイン」をテーマに、商品ラインナップをそろえた。昭和レトロな雰囲気を生かした新ブランド「はじけるキャンディチョコレート。」などが注目されている。
バレンタインはかつて、女性が男性にチョコを贈り、愛を告白する日とされていた。だが、近年は女性同士でチョコをプレゼントし合う「友チョコ」や、家族で味わう「ファミ(ファミリー)チョコ」など、楽しみ方は多様化している。コロナ禍のバレンタインは「イエナカ」が避けられず、いつにも増してファミチョコが盛り上がるかもしれない。