アメリカ連邦議会議事堂に乱入した集団のうち、バッファローのような角を着けた男は一体何者なのかと、ネット上で話題になっている。
「さあ、行くぜ!」。集団は、こんな掛け声とともに議事堂内に押し入り、警備中の警察ともみ合いに。
議長席にも陣取る大暴れ
警察が「これ以上入るな」と制止しても構わず、「やっと入ったぜ!」と雄叫びを上げていた。
民主主義の牙城で2021年1月6日、集団が議場内にも入る騒ぎが起きると、こんなショッキングな映像がテレビで流された。もみ合い中に発砲もあり、議事堂の内外で計4人が死亡したと報じられている。
集団のメンバーらは、議長席とみられるイスにも陣取り、その中には、例の「バッファロー男」の姿もあった。
角が付いた毛皮の帽子を被り、上半身裸で、顔には、アメリカ国旗とみられる赤と白と青のペイントをしている。
その姿は、多くのアメリカ人に見覚えがあったようだ。
米アリゾナ州の集会などで、2019年から度々目撃され、「Qアノン」と呼ばれる陰謀論を主張して目立っていたからだ。
Qアノンは、アメリカで4年前に「Q」と名乗る人物がトランプ政権の内部情報だとする書き込みをネット掲示板でしたことから広まった陰謀論、およびその信奉者を指す。トランプ大統領は、悪事を働く「闇の政府」と正義の戦いをしていると主張している。
地元有力紙のアリゾナ・リパブリックが今回の騒動について報じたウェブ版英文記事によると、乱入したバッファロー男は、このジェイク・アンジェリ氏(32)だという。
「Qシャーマン」と呼ばれ、「Qが私をつかわした」
アンジェリ氏は、Qアノン界隈の有名人の一人で、「Qシャーマン」と呼ばれているという。2020年2月の地元の集会では、「Qが私をつかわした」とするプラカードを持ち、5月にはアリゾナ・セントラル紙のインタビューにも応じていた。
ネットリサーチで真実をつかんだと主張し、新型コロナウイルスの感染防止対策にも反対していた。
今回の乱入騒ぎでは、極右グループのメンバーと見られる男らと一緒にいる姿もツイッター上に投稿されている。
騒ぎを起こした集団については、Qアノンの反対勢力で反ファシズムを訴える「ANTIFA(アンティファ)」のメンバーではないかとの主張もネット上で出ている。メディアではこうした声に対し、アンジェリ氏の上記のような経歴を指摘し、乱入者が確かにトランプ氏支持者であることを指摘している。対して、アンジェリ氏とされる男らが、変装したアンティファだとの主張もあるが、現時点では、そう言えるだけの根拠はないようだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)